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何事にも代えがたい全流しのカ・イ・カ・ン
──END TO END

2016.07.22

 どこを滑り倒しても楽しいスケートボードですが、中でも端から端までを滑りきるグラインドやスライド系のトリック、いわゆる「全流し」をメイク出来たときの快感は何事にも代えがたいものがあります。ショービットやフリップ系のトリックを織り交ぜてヒット&アウェイ的な感じも素敵ですが、あえて愚直に一本滑り倒す。実に男らしいではありませんか。当然メイクに至る長い距離を耐える必要があるので、それ相応のスピードで突っ込んでいかなければなりませんし、たとえワックスをゴリ塗りしたとしてもグラインドやブラントスライド、リップスライドあたりのトリックで滑りきるとなれば、難しい体勢のまま重心を安定させて来たるメイクに備えなければなりませんので、フェイキー系にBsリップやFsブラントなど、それ自体の難易度が高いトリックで臨む際の苦労は想像に難しくありません。
 そして当然メイクに向けて全流しを何度もトライしていると(無論全流しに限ったことではありませんが)、必然的にスケートボードにはダメージがいち早く蓄積されます。ボードもウィールもトラックも、もれなくその苦労の痕跡を残して徐々に摩耗し、その使用価値に終わりを迎えるわけですが、全流しを見事メイクして苦労の痕跡をウットリながめるという時間もまた、全流しメイクの快感に匹敵するものがあります。
 今回映像で紹介している全流しの達人のように、何も難易度の高いスポットやトリックでなくとも、自分の滑りとその痕跡にウットリすることはできます。それはスラッピーでも膝下レッジでもミニランプのコーピングでも体感できますし、挑戦するトリックの難易度もそこまで気にする必要はありません。とにかく突っ込んでいって流す、止まる直前まで滑り倒す。そして磨り減ったスケートボードの美しさにしばし心奪われた後、新しいギアを手に入れに行こうではありませんか。梅雨明けは、もうそこまで来ています。

─Takayuki Hagiwara(FatBros

 



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