現在リオデジャネイロで開催されているオリンピックでは、実に多くの日本人選手たちがすばらしい活躍を見せているようですね。そして来期2020年夏季大会の開催予定地であるここ東京からは、いよいよスケートボーディングが正式種目として世界に発信されるというのですから、まったくすごい時代になったもんです。少なくとも20年前にこの展開を予想できたスケーターはおそらく皆無でしょう。それもそのはず、20年前といえば、多くのスケーターたちはまだそれほど大きくない各地域のスケートコミュニティの中で、自分のスタイルを確立するために日々スケートと向き合っていました。あくまでも同志であるスケーターたちの評価だけを気にしていたわけで、一般の人の評価はもちろん、親兄弟や恋人(未満含む)からさえも期待されない活動を性懲りもなく延々と繰り返してきたわけですから、オリンピックがどうこうなんて話に至らなかったのは当然です。
ここから話は大きくそれますが、そんな20年前から活躍していたまさに「アンダーグラウンドなう」な方々をゲストに迎え、世界中のスケーターを熱狂の渦に巻き込む、カナダはモントリオールで開催されるスケートの祭典“Dime’s Glory Challenge”が今年も開催されました。ゲストにゆかりのある事柄からインスパイアされたおもしろ企画では、とにかく高いところにある細いスポットばかりを攻め続けていたジョー・ヴァルデスにちなんだValdez Challengeや、スケートボード史上初のBack Flip To Fakieをバートランプでやってのけた"Sluggo’’ことロブ・ボイスとともにクッションプールにダイブするForm Pit Challenge、かつてBlindに所属し、2012年に惜しまれながら解体されたスケート記憶遺産Carlsbad GapにてTre Flipをメイクしたステアの鉄人、ジョシュ・キャスパーをDJブースに立たせ(果たして本人かどうかは不明)、上から彼を飛び越えるJosh Kasper Challengeなどなど、スケーターならではの趣向を凝らしたマニアックな企画のオンパレードに、参戦しているスケーターもオーディエンスたちも大盛り上がり。そして終盤に差し掛かると、スケートのスキルとはなんら関係のないところで勝敗が決まるGladiator Challengeなる企画(僕の地元ではチクタク相撲と呼ばれている)までもが開催され、それこそ近代オリンピックが昨今忘れてしまっているのではないかと危惧される崇高な精神、すなわち「参加することに意義がある」という至言を彼らは見事に、実におもしろおかしく体現しているなぁと僕はつくづく感心するのであります。
─Takayuki Hagiwara(FatBros)