Vans Skate Classics - Breana Geering

93A
──トレードオフ

2022.12.02

 デッキ…割と何でも良し。幅7.5インチが主流、というかそれ以外の選択肢があまりないような時代に育ち、当時はそれで当たり前にスケートしていました。太いデッキ、変形デッキも普通に流通する現在ではその時々のヴァイブスで手にしたデッキを、毎度サイズや形の違いに多少苦戦しつつも手懐けていくのを楽しんでおります。トラック…人との出会いや恩もあり長いことAceを愛用しているのですが、それまではチープシットから前後サイズ違いのチグハグ系までひと通り楽しんできました。ベアリング…王道のBonesを使うことが多いですが、交換する時々で気になるものを手に入れ、ひとしきり使います。その他、デッキテープやビス、細かいギアのあれこれが存在しますが、あまり好き嫌いはしないように心がけているというか。自分基準で考えてその雰囲気や存在に共感できない「よほどイケてないブランドでもない限りは何でもオッケー!」という、ギアに対するストライクゾーンは広めの吾輩。
 「あれ、ウィールは…?」。そんなツッコミが入りそうです。正解、ウィールに関してはけっこーうるさい類であると自負しています。そのうるささたるや、深夜の閑静な住宅街をプッシュで走り抜ける騒音のごとし…なんちゃって。とは言え、あの4つのウィールほど僕のスケート中の気分を左右させるギアはありません。その昔に初めてゲットしたスケートボード。ショッピングセンターで買ってもらったいわゆる「パチモン」のコンプリートから、少しずつ正規スケートブランドのギアに組み替えていくのですが、そんな中からウィールほど性能の違いに感動したものはありません。
 以来、年月と共に少しずつ性能を高めていったウィールが各社からリリースされ、いわゆる「高性能ウィール」と呼ばれるものもみなさまの足元に標準装備されているのではないでしょうか。それらもリリースされてから10年近い時が経つのですが、最近ではさらに進化したようなウィールが出てきているわけで。具体的には97A、95A、93Aみたいな、既存の定番よりも柔らかめのウィール。グリップ性も重要となってくるトランジションでのスケートはもとより、スライド性も重要となってくるストリートのスケートには柔らかめのウィールはあまり適さないというのがこれまでの概念。ですが、最近のウィールはその概念すらブチ壊してくるのだから驚きです。音も静かで走行性に優れたソフトウィール、トリックに適したハードウィール、この2種類のウィールはまったくの別モノ。このトレードオフの関係はこの先もしばらくは解消されることはないかと思っていましたが、いよいよそんな理想も見えてきた昨今です。Spitfireの97A、最近はPowellの93Aというウィールを試し履きしていますが、その優秀さはマインドブローイング。またこの先も各社からそれに追随するものがリリースされるようです。ハードなのにソフトな乗り口は、音も静かでストリートでの騒音によるキックアウトも減らしてくれそう。深夜の閑静な住宅街を走り抜けるのにも気を使わなくても済むエコな代物は、ウィールブランドによる企業努力以外の何物でもないでしょう。スケートウィールの新たな時代を感じる昨今ですね。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 




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