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少年A
──啓蒙活動

2020.08.28

 それは先日、仲間と少し遠出したパークでの出来事。夏真っ盛りの天気だったのですが、その少し前まで降ったであろうゲリラ豪雨のせいもあり暑さ・湿気ともにMAXなタイミングで到着した僕たち。ガラガラのパークにいたのはひとりで来ていた中学生スケーター。聞くとおばぁちゃんの家に泊まりに来ているので毎日このパークで滑っていたのだとか。スケート歴はまだ浅く、高く安定したオーリーを習得すべく練習に打ち込んでいました。彼の様子を見ては「あの子は本気でスケート好きそうだねぇ」「この先も辞めずにスケート続けそうだねぇ〜」と思うのにそう時間はかかりませんでした。思えば自分もスケートを始めたての頃、祖父母の家までデッキを持って行っては荒い路面の道端のカーブにロウソクを塗り込み50-50の練習などしたもんです。まるで過去の自分を見ているかのようでついしみじみとしてしまったのですが、おそらくその場にいた僕の仲間も同じような気持ちだったことでしょう。
 どうやらその少年、普段からひとりで滑ることが多く、なかなか上達しないのが悩みだとか。「あぁした方がいい」「こんな練習するといい」とアドバイスする僕ら。そして3センチほどの高低差のある場所を見つけて、「ここならオーリーしなくてもスラッピーで簡単にグラインドの感じ楽しめるぜ! やってみ」とお節介にも唆してみたのです。1トライ目は板から降りてしまい失敗。2トライ目、トラックを当て込もうとした瞬間、ウィールが見事にロック。そのままの勢いで前方に飛ばされた少年は、その目の前に立つ休憩所の柱に頭をゴツンっ! その場にうずくまり、悶絶する少年。顔面蒼白で駆け寄りましたが、幸い目立った外傷や流血もなく一安心。「変なおじさんの言う通りやったら頭ぶつけてしまったじゃねーか、クソっ!」。少年はそう思ったに違いありません。
 頭を強打するという洗礼を受けた少年。僕らはその果敢なトライを称え、各自バッグに忍ばせているさまざまなステッカーを手渡しました(aka 啓蒙活動)。大喜びですぐさまデッキに貼るその姿も、いつかの自分を見ているようでまたほっこり。「今日は頭ぶつけちまったけどステッカーをゲットしていい日だったな…」なんて一瞬でも思ってくれたら願ったり叶ったり。「自分もそんな風に応援してもらってスケートしてきたよな…」と思い起こさせてくれる出来事でした。
 5年後10年後。もしかするとその少年もすっかりお兄ちゃんになり、スポンサーをゲットしたりクルーを組んで活躍してたりするのかもしれません。またどこかで遭遇でもしたときに「あっ、あの時のおじさん! これオレらのステッカー、あげるよ!」 いつかそんな日がくると嬉しいなぁ〜。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 




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