VANS - SKATE HALF CAB BY ELIJAH BERLE COLLECTION

「ちょっと あんた飛ばしすぎ」
──第36回:挨拶がわりの1STビデオパート

2022.06.27

 先日公開された佐々木音憧(トア)のPick Upパートは観てもらえたでしょうか? まだ観ていないという人は、こんなコラムを読む前に一度ブラウザの戻るボタンを押してトップに戻って少し下にスクロールしてチェックしてから出直してきやがれ! おっとすみません、やはり自分が関わったプロジェクトというものは思い入れもあり、つい熱くなってしまうものです。

 MxMxMでサポートが決定したものの、名刺代わりのビデオパートを作らないと何も始まらないこの厳しいスケート業界。それにしても撮影担当の僕は東京在住、相手の15歳少年トアは三重県在住。撮影を始めた2021年3月の時点では14歳で中学2年生。どうしたもんかと思っていましたが、完全に少年の彼はもちろんまだ親の管理下なので「息子さん拝借しますよ~」という連絡を親の方にも一本入れ、春休みを利用してまず様子見で一度撮影をスタートさせようと試みました。

 まだ中学生だしひとりでホテルにぶち込むのもちょっとなと思い、とりあえず我が家でなんとか泊めてみるか…。我が家は嫁と3姉妹の娘たち。女しかいない我が家で少年はやっていけるのかという不安はあるものの、とりあえずやるしかねぇっす。ということで我が家をも巻き込んだプロジェクトがスタートしました。
 撮影初日、ハンドレールやステアといったハンマーを得意とする彼なので、とりあえずデカめのハンドレール、着地は下り坂というレールもHell、着地もLittle Hellなスポットで反応や様子を見ようと思い連れていくと、たまたま近くにいた警察にキックアウト…。やたらと僕らの関係性を確認してくる警察でしたが、確かによく理解できない設定ですよねそりゃ。三重県在住の14歳の少年をどこぞやの42歳の僕が連れているってどーゆぅ感じぃ~? っていうのが普通の反応だと思います。

 スポットを別のもう少し優しいハンドレールスポットに変更。レールは中級、キックアウトはかなり早いスポットなので「どうする?」と聞くと、「とりあえずフロントリップ」という答えが返ってきたのでお願いしてみるとハンドレールの滑り具合や角度をよくよく確認するわけでもなく、いきなり発射からの1発メイク! 理解が追いつかないし、多分キックアウトする側も気がついていないので、「んじゃあメイクしたらそのままラインで正面のステアまでいってなんかやってみれば?」というとさっきと寸分変わらないフロントリップドカーン! そのままその先にあるステアでバックサイド360クルクルドーン! そのままさっきキックアウトされたHellなレールに行くと、今度はバックサイドリップを2発でメイク。OMG! 今まで自分がしてきた撮影の常識がすべて崩れた瞬間でした。

 撮影から帰ってくると、我が家の子供たちは寝ているトアの上に乗っかったり、トアがスマホでやっているゲームを覗き込んだり…。自由にやっているので放っておくと日に日にエスカレートしていき、最終的にはトアが遊んであげているのか遊ばれているのかよくわからない状態になっていましたが、普段僕の周りでうるさい娘たちが全員トアに集中しているので、我々夫婦はそれはそれは静かで平穏な暮らしをさせていただきました(笑)。

 ストリートで撮影を進めている1年間で身体もどんどんデカくなり、その間にも国内や海外のコンテストで優勝だのなんだのの好成績を収めまくってトリックもかなり増えて成長していくトアを見ていて思ったことがありました。コンテストで出すような激ヤバなトリックがそこまでストリートで出せていない。
 やはりストリートだと路面、通行人、レールの高さ、角度、その他いろいろ。すべてにおいて完璧な場所などは当たり前のことですがなかなかなく、やりたいことをやらせてもらえない問題が撮影期間中に幾度となく発生しました。実際に50%くらいの実力しか引き出せていないのでは? という思いすらあります。逆に言うとそこを攻略し、すべて出し切ったら次回パートはとんでもないことになってしまうと思うと今から楽しみで仕方ありません。

 ちなみに今回のパートの曲はガーリックボーイズの“あんた飛ばしすぎ”という、我らがMxMxM社長の大好きな曲だったのですが、パート公開の次の日にCapy(西川 誠)から「ちょっと あんた飛ばしすぎ」って曲が頭から離れなくてヤバいっす! というだけの内容の電話がかかってきました。確かにそのフレーズが繰り返されているので編集している僕の頭にもこびりついているのは確かです。あれ? もしかしてアナタも?

 

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