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──クラシック派

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 物事の進化を感じる瞬間。スケートボードにおいては新しいトリックが編み出され、トリックレコードは塗り替えられ、シューズやギアなんかも性能が良くなったり。自分の場合はスケートボードを中心にした生活を送ってきたため、その進化をつねに感じてきました。人によってはそれがたとえばサッカーやアニメであったり、将棋であったり、棋士と対戦するAIや科学技術であったりと、十人十色でしょう。最近見た花火大会にも僕は進化を感じ、感動を味わったばかり。打ち上がる花火はまるで見たことのないような形や光り方、散り方をしていて、ただただ唖然。流れるBGMに花火の「ドーン」の音を狙って合わせたような演出はスケートビデオのそれにも似たものがあり、ついニヤリ。これに関してはまだまだ改善の余地があるように思えたのですが、それも今後の進化により、さらに良くなっていくでしょう。そして現代の技術を駆使したドローンによる花火も見事でした。さすが「花火大会」と銘打つだけあって、ちょっとした祭で上がる花火とはワケが違う。
 スケートビデオの進化について考えてみようと思います。今のようなスケートボードの始まりの頃、ビデオをリリースしていた、というかできたのはまだ数も少ないスケートカンパニーぐらい。必然的に作品数も少なく、その当時のビデオに出演できたのはトップで活躍する者くらいで、そんなスケーターの多くは今もレジェンドとして崇められています。やがて新しい風を吹かすカンパニーも増え、411VMに代表される定期リリース型のビデオマガジンが出てきたり、ビデオカメラの普及でより多くのスケーターが撮影に臨むことが可能になりました。2000年代前半にはVHSテープからDVDに替わり、ひとつの作品からデッキやシューズのオマケとして付いてくるものまで、内容も多岐に渡るように。それでもここまではスケートをスキルで見せるものがほとんどで、それなりの水準に達していないと世に出る作品として成立しませんでした。
 '10年代以降はご存じの通りスマホやSNSの台頭で誰でも簡単に撮影し、アップロードして世界へ発信することが可能な世の中に。YouTubeも普及し、これまで同様、「ガチの」スケートビデオも各社、各クルーなどからリリースされる一方、どちらにも所属しない個人でも映像を作って発表することができるようになりました。もはやスケートスキルは必修科目ではなくなり、目立ったスキルは持ち合わせずとも見せ方ひとつでメイクマネーしたり、プロよりも注目を得られるようになりました。スケートシーンに現れたひとつの脅威であったことに間違いありません。
 さて今後スケートビデオはどうなっていくのでしょうか。毎日ここかしこから発表されるビデオは供給過多状態。きちんとパッケージされたDVDのような作品の「モノ」としてのリリースは減っていくばかり。そして世の中ではAI技術がますます進歩しています。AI絵師が本物と見違わない美女の画像を生成できる時代です。現状ではまだ真新しいそんな技術も、じわじわと普及していくことでしょう。それら技術は当然のごとくスケートビデオ界に入り込み、リアルに見せかけた実在しないスケーターが活躍するのです。実在しない幻想的なスポットで夢のようなトリックをさもあるかのごとくやってのけ、また上手な見せ方でスケートコミュニティ以外の層からも幅広く支持を獲得していく。そんな映像を作り、覇権を握っていくのはスケボーなんてまともに乗れない動画クリエイターの類。実際のスケーターはというと、街の嫌われ者として排除されていくのさ…なんていうディストピアが思い浮かんでしまったわけですが、そうはさせないクラシックな勢力がしぶとく残り続ける未来と、進化の継続にも期待していたい。それはドローン従事者によるエレクトリックなニセ花火よりも、実際の轟音と煙を放つ花火と花火師の技術に感動したみたいにね。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 



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