VANS - SKATE HALF CAB BY ELIJAH BERLE COLLECTION

馬鹿と煙は…
──スカイハイ

2022.05.27

 「馬鹿と煙は高いところが好き」とはお調子者を揶揄する場合に言われるものですが、この言葉のなんとスケーターに相応しいこと。誰に頼まれることもなければ、それでお金儲けもほとんど見込めないにもかかわらず、自ら進んでより高いところへ登り、板と一緒に落下しては大喜び。時にそれはスタント的な行為にまでエスカレートし、失敗すると大怪我、最悪の場合は死んじゃうんじゃないかってことをやってのける輩もちらほら。これを馬鹿と言わずして何と言いましょうか(でも最高)。
 そんな馬鹿どもの好む場所のひとつは「屋根」。落差が数メートルはあろう屋根に登ってはその勾配を下り、地面に降りるってのは少なくとも盛り上がり間違いなしのパフォーマンスであります。またルーフギャップ、つまり屋根と屋根の間を飛んじゃうってのもまた映えポイント高し。スケートボードを始めたての頃に観た、Deca『Second to None』では屋根と屋根の間にベンチを設置してトリックを連発するっていうパフォーマンスに興奮したものであります(そんなビデオを毎晩のように飯時に観せられていた親は何と思っていたことか…)。
 ところで先日、まーたすんごいの見ちゃいました。それは都内の某人気パークにて。パーク外にある休憩所がここ1〜2年ほど前に改装され、それは見るからにスケーターが良からぬ妄想をしてしまう三角屋根になっているのです。とは言え、誰も挑戦すら試みることのなかった超デカブツ。ついにそれが筆下ろしされたのであります。それを仕留めたのは磯口ナリキ(@nauucx)。「ん、誰!?」って思う人がほとんどでしょう。それもそのはず、彼をメディアや誌面で見かけたこともなければ、動きの活発なフィルマーやフォトグラファーと動いている様子もあまりない。隠れヤバいヤツのひとり。住んでいるエリアが近くなければ僕も彼の存在を知らなかったと思います。その屋根を仕留めるにあたっては1発目でデッキを折りつつも仲間の協力や励まし、ヤジを受けながらも数回のトライで成功。
 屋根を引き合いにしましたが、みなさんの近場にも、よく知られているのに誰も手付かずのリスキーな物件がひとつやふたつはあるはずです。言うまでもなくそれらにアタックするのは並大抵のことではありませんが、「最初に突っ込んだヤツ」っていう称号が与えられ、記憶に残されるのは確かなこと。見事メイクすればなおさらで、もはや「そのスポットはそいつのモノ」と言っても過言ではありません。
 しかし何よりもヤバいと思うのがそのナリキ少年、身体の怪我、ことさら手の怪我は絶対ご法度なはずの新米美容師として働いているとのこと(家族も代々美容師らしい)。それでいて今回のスタントのみならず各地の屈強スポットを着実にやっつけています。「馬鹿と煙は…」なのか「馬鹿と天才は…」なのかわかりませんが、今後もその勢いから目が離せないのは確かであります。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 




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