VANS - SKATE HALF CAB BY ELIJAH BERLE COLLECTION

ド変態度指数
──キズ

2022.09.23

 基本的に消耗品であるギアはフレッシュであるほど乗り心地が気持ちいいものです。新しい板は叩く音まで乾いて気持ちがいい。新しいウィールやベアリングは心なしかプッシュを軽快にし、いつもよりスケートが上手い気にさえさせてくれる。トラックこそ個人のクセに合わせて馴染んでくるまで多少時間を要し、その間は扱いに手こずったりするものですが取り替えの頻度も最も少ない部品であるため、そのフレッシュさや独特の気持ち良さを楽しめる時間も限られたものになってきます。
 しかしギアも使い込んでくると徐々に劣化、キズがつくのは避けられません。そのグラフィック、フレッシュさと引き換えに増えていくキズや汚れは「愛着」や「思い出」みたいな感じで刻まれていきます。これがまたたまりません。貼っているステッカーが少しずつ擦れていく感じもまた良し。パークやスポットから帰りの電車内、「今日もよーく滑った」と自分で自分を褒めつつ、今日またできた新たなキズを見てニンマリ。デッキのキズはもちろん、トラックに上書きされていくグラインド痕なんかもうたまりません。それを指でなぞっては鉄片が刺さり、痛い思いをするのは古今東西のスケーターあるあるではないでしょうか。
 他人のデッキを見るに、個人的にはKグラインド痕のビッチリ残った板やトラックだと「コイツ、やってんなぁ〜」って感心させられます。ノーズの斜め45度(さらなるスキルの持ち主はテール側も)に記録される独特な痕、その延長線上にあるトラックの斜めに掘れたグラインドの痕跡。もうそれだけでスケーターとして信用に値するといいますか。同様にテール側のトラックの削れっぷりなんかも。アールを好んで滑る人に顕著なのですが、コーピングの形が浮き彫りになるほど削れたもの、シャフトが剥き出しになるほど使い込まれたものを見ると、語らずともそのヒストリーを想像させてくれるのであります。「トラックのキズをツマミに酒が飲めるぜ」って、昔どこかのおじさんスケーターが言っておられました。なるほど、賛成だぜ!
 余談タイムに入りますが、キズ関連で最近どハマりしてしまったのが、偶然路上ライブで見かけた「傷女融解(ショウジョユウカイ)」って若い女の子ふたり組のバンド。そこらでやっている路上ライブは基本素通りすることがほとんどなのですが、そのふたり組が放つ音とボイスワークといったら素晴らしいのなんの。プッシュで一旦素通りしてみるもたまらずフェイキー、しばしその演奏を眺めてはニンマリ。そんな姿は側から見るとキショイおじさんに違いないんだけど、この際かまわねーっす。現代社会に疲れて傷のついた僕のマインドを治癒してくれる路上演奏にスタンディングオベーション。めでたしめでたし。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 




  • SKATE SOCK
  • éS FOOTWEAR