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 スポーツというよりも文化活動に近く、誰でも自由に取り組むことが出来る…
──PROFESSIONAL PEOPLE

2014.07.25
 スポーツというよりも文化活動に近く、誰でも自由に取り組むことが出来るスケートボードですが、プロスケーターともなるとだいぶ話は変わってくるでしょう。何しろ子供に夢を与える職業ですから、その振る舞いがつねに創意工夫に満ちた魅力的なものでなくてはなりません。また最近では、シニアの方々の頑張りも侮れませんから、そんな目の肥えた人たちも思わずうなるような玄人好みの振る舞いも要求されます。ここで言う「振る舞い」とはもちろんスケートそのものです。誰をも納得させる上質なスケートを映像や写真に残したり、あるいは多くの観客が見守る中で堂々としたスケートを披露し、競争に勝って結果を残す。
 とはいっても実際にそれをやるのは生身の人間ですから、当然そのパフォーマンスという側面においていえば限界はあります。中には衰えを微塵も感じさせない超人的なスケートで人々を魅了し続ける方々もいらっしゃいますが、ほとんどのプロスケーターたちは遅かれ早かれ「その時」を迎え、決断を迫られます。「その時」とは、職業としてのスケートを手放し、生業を持つということです。
 プロ時代に自分を支えてくれたカンパニーの元で、今度は自分がカンパニーに在籍する若きスケーターたちを支える情熱溢れるスタッフになる人。プロとして活躍していたときの経験と人脈を活かし、業界の側からシーンに改めてチャレンジする人。自分のスケートキャリアを育んでくれた地元に戻り、ローカルショップを運営することで地元のスケートシーンの活性化に貢献する人。スケートの魅力をその最大のコンテンツとする専門誌やウェブ媒体などに、経験から身に付けた美意識でもってすばらしい映像や写真を提供したり、その想いを誰もが共感できる文章で綴る人などなど、そんな実に多くの「元プロ」たちが支えるスケートシーンが魅力的であり続けるのは当然のことなのかもしれません。

 またその一方で、今回紹介する方々のように、スケートとはまったく関係のない分野でその独創性やセンスを発揮しまくっている元プロスケーターたちがいることもとても素敵なことです。その滑らかなスケートスタイルで一世を風靡したオーシャン・ハウエル氏は現在、オレゴン大学の助教授として建築史の研究に取り組んでおられるようです。
 スイッチスタンスのパイオニアにして第4代SOTY、サルマン・アガー氏はLAで営むピザ屋さんを切り盛りする毎日を忙しく過ごしているようで、有名無名問わず多くのスケーターが訪れているようです。機会があればぜひ行ってみたい場所ですね。
 元Toy Machineのプロで縁石マスターのジェリー・ファウラー氏は、消防・救命救急の分野で社会の安全に尽力されているようです。ご苦労様です。
 '90年代初頭にそのテクニカルなスケートを武器に活躍したロン・ニギー氏は現在、それはそれは美しいウェディングケーキを作り上げる職人さんになっていました。

 そして何よりも素晴らしいことは、第一線を退き、シーンに直接関わることがなくなった今も、彼らがスケートを楽しみながら続けているということです。楽しみながらかどうかというのは、本人にしか分からないことなので勝手な解釈ですが、きっとそうだと確信しています。だって楽しくなきゃやってる意味ないもの。

--TH (Fat Bros)

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