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犬も歩けばスティックにあたる
──野生の本能

2024.03.29

 自称・愛犬家の自分(飼ってないので見るだけ専門)。人懐っこく、何かを訴えるような目をキラキラさせている姿がたまりません。愛犬家を自称するだけあり、ワンワンには好かれやすいタイプ(自意識過剰)。もうちょっと頑張れば犬とコミュニケーションが取れそうな気すらしています。どうやらそんな技術も開発が進められているらしいですよ。きっと100年後にはAIを介して人間と犬は会話が可能になっていることでしょう。そんな未来が見てみたい。
 ところで時々、我々スケーターと犬ってなんか似ていると思ったりするわけです。まずは嗅覚。「スポット臭がするな…」なんてそこらを徘徊すると、やはり何かしらのスケート可能物件に遭遇する。スケート歴の長い人ほどそんな経験が多くあるんじゃないでしょうか。さて、そんな物件に出くわしたら次にすることといえばそう、マーキングですね。スポットを見つけるとマーキング、いえ、何かしらトリックを残しておきたくなるのはスケーターの性。地元なんかにある、今見るとなんてことないスポットですらその前を通り過ぎると、確かに残しておいたその時の思い出が今も蘇るような気持ちになるのです。
 スケートパークがかなり増えましたね。スケートパークって、なんだかドッグランみたいに思うのは僕だけでしょうか。パークといえば腕を磨く場所でありつつ、コミュニティの場所としての役割も果たしています。ドッグランで犬たちがよその家庭の犬とワッツアップして楽しそうにしているように、スケーター同士が集まり近況報告したり、情報交換が行われる場所でもあります。しかし犬たちだって、安全に囲われた場所だけにいるより、より解き放たれた方が犬としての本能が研ぎ澄まされるに違いありません。スケートだってそう。そこらにあるあれこれをスポットに見立てて滑るのがスケーターの本能だと信じたい。しかしながら近年においては、パークでのスケートは超一級のスキルがありながら、いざ街に出て何かを残そうとなると、「はて何をすればいいのかわからない…」となってしまうスケーターの姿もあるようです。それではちょっともったいない…スケーターとしての野生の本能が低下している現状があることを、僕は危惧しているのです。
 自分はパーク作りという仕事が与えられ、「パークなんていくつあっても最高!」と思いつつ、目の黒いうちは街角のちょっとそこいらでもスケーターとしての本能を研いでいたいと思うわけだ。だからスケートボードにもっと寛容な世の中を願うんだけど、「野良ボーダー」とか言われたりするのが実情よね、ニッポン。ワオォォォン(悲しい鳴き声)。

—Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 




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