New Balance Numericへの移籍を機に、着実に活動の舞台を世界へと広げる山附明夢。Numericの一員として参加したThrasher Weekendやパリツアーの裏側、そして今後の展望について話を聞いた。
──AIMU YAMAZUKI / 山附明夢
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Special thanks_New Balance Numeric
VHSMAG(以下V): 新しいスポンサーがついたりして昨年くらいからかなりの注目が集まってるけど、そのなかで個人的に感じる一番大きい変化は?
山附明夢(以下A): めちゃくちゃ忙しくなりましたね。日本にいないことも増えました。
V: New Balance Numericへの移籍はビッグニュースだったけど、その経緯は?
A: Primitiveのビデオを撮影してたときに(岩倉)エリキがストーリーを上げたのかな。それにタイロン(・ロメロ)っていうNumericのマーケティングマネージャーがいるんですけど、その人がなんかDMしてきたっぽくて。後で聞いた話だと日本のブランドマネージャーからチームに入れたいと希望をもらっていたらしくて。でも日本からの契約ではなくグローバルからでと推してくれていたみたいです。それでチームに入れたいみたいな感じの話になって、成り行きで話が大きくなっちゃって…こんな感じになりましたね(笑)。
V: Numericに移籍を決めた決定打は何だったの?
A: 前のスポンサーだったéSとの契約がちょうどその年の12月までだったんですよ。それで結構いろんな人に相談しました。アメリカのいろんな人とか日本人もちょっとだけ…まぁ、親とか。そしたら全員から「Numericに入った方がいい」って言われて…。たしかに動けそうだし、動けた方が絶対楽しいよなっていうので。
V: Numericには錚々たるメンツが揃ってるけど、プレッシャーとか特別な意識とかはなかった? 特に日本人スケーターとして初の加入になるという意味で。
A: いや、そんなになかったですね。「どうやってéSに話そうかな」としか考えてなかったです。チームに入ってそんなに経ってなかったんで、余計どうしようっていう。éSのイメージがついてるってよく言われるんですけど、1年半くらいしか履いてなかったんで。
V: Numericのチームと顔を合わせたのはどのタイミングだったの?
A: PrimitiveにはNumericのライダーが結構多いんで、ちらほら会ってはいたんですけど、実際全員に会ったのはThrasher Weekendでしたね。
V: あのタイミングだったんだ。あれはライダー全員集合だったの?
A: トップが全員来たみたいな。そんな感じのツアーでしたね。チームの空気は全然良かったですよ。みんな仲良いし、優しいし。フィラデルフィアのスポットを回ってコミュニティイベントみたいな感じのものにも参加して。ツアーは1週間くらい。Weekendなんで週末のイベントに合わせて前乗りしてストリートで撮影みたいな感じでした。
V: ツアー中に撮ったストリートの映像は別のプロジェクト用にプールしてたりするの?
A: いや、あのエディットで全部使ってます。どんなハンマーでも、何をやっても全部あのエディットに行きました。音楽もなかったから臨場感たっぷりでしたね。
V: ツアー中で印象に残っている出来事は?
A: ティアゴ(・レモス)が思ったより参加してなかった(笑)。でもティアゴですからね。それでエグいことばっかやってくるんで。そんな感じで確実に映像を残すから誰も何も言えない(笑)。あれが本当のプロなんだろうなっていう。その後に一緒にSFに行ったんですけど、34歳で身体が長いこと動かないから、集中して滑るのは1日1時間半が限界って言ってました。でもNumericのチームは平和でした。なんかもっとワチャワチャするのかなと思ったら意外とみんな大人で遊ばないし。
V: じゃあツアーは普通にチームに溶け込んでた感じだ。特にThrasher Weekendの動画のサムネイルの写真は明夢がセンターを陣取ってたから、温かく迎え入れられてるって感じたけど。
A: いや、あれはね、オレ真ん中に座るつもりなかったんですよ(笑)。あの写真撮ってる場所、左側に手すりがあるじゃないですか。あそこが真ん中だと思ってたんですよ。それで「じゃあオレは端っこでいいや」と思って。そしたらまさかあそこが真ん中になって。偶然です、マジで。まさかあんな真ん中になると思ってなくて…。あのレールを挟んで撮るのかなと思ってたんで。もう移動する場所もないし「もういいや」って。新参者がど真ん中なのはすごい気まずい(笑)。
V: ではツアー中に刺激を受けたことは?
A: みんな上手すぎて萎えますよ。「そこでそれやるの?」みたいなのが結構ありました。みんなサラッとクソでかいハバとかレールとか攻め出して。「オレやることねぇ」みたいな(笑)。まぁ、好きなことをやる感じだったんでそれはいいんですけど。なんか普通に笑顔で入ってくるみたいな。
V: Thrasher Weekendの前のパリに関しては? パリツアーがNumericに加入して1発目の仕事だったの?
A: そうですね。770のプロモーションに起用されて。770は調子いいですね。かかとが結構柔らかくて、スケートでも普段履きでもいける感じ。それこそレイノルズの933と一緒で、普段履きと併用できそうな。デザイン的にもアッパーのアタッチメントとかかっこよくて好きですし。パリツアーは6月末から2週間弱。パリは昔にHomeboyのツアーで行ってて2回目だったんですけど、1回目に行かなかったスポットが多かったんで面白かったですね。なんか新鮮で。
V: パリで印象的だったトリックは?
A: ビデオのラストのフロントテールのフリップアウト。 あれはツアーの初日に行ったんですよ。それで普通に足がつって、最終日に再トライ。タイミングを見計らって最終日に行って乗れました。1時間くらいトライしてたかな。ワンプッシュで、フロントテールをかけるときも結構幅を飛んでかけないとダメなんで結構しんどかったですね。なんか最初はめちゃくちゃ着地の路面が滑って、何回か乗りゴケしたんですけど…。でも最終日に戻ったらなぜか滑らないようになってて。雨が降ったかなんかでたぶんきれいになったのか。みんなで「コーラを撒いて拭いたら滑らなくなるんじゃない?」みたいなこと話してたんですけど。
V: あれは完璧でヤバかったけど、個人的にはバック3の動きにヤラれる。パリのツアービデオではテールスライドからのバック270アウトもあったし、一時期はIGでフラットのバック3がバズったことがあったでしょ。
A: ああ、あの恐竜公園のやつ。あれは遊びで変な形にしたんですよ。テールをしゃくらず、引っ張りで持って行ってみようかなみたいな。腰が痛かったですけど(笑)。普段は普通にしゃくりますよ。あのテールスライドはちょっと引っ張ってますね。あとステアだとやっぱり引っ張る感じになります。
V: 770のプロモーションでNumericのIGに投稿されたあのシークエンスについては?
A: バックテールのビッグスピンアウトは、あのスポットに一度行ったことがあって。初めて行ったときはバックテールだけしてたんですよ。それでビッグスピンアウトを軽い感じでやり始めたんですけど、ちょっと風があって乗りに行くのがクソ怖くて。風に煽られるんですよ。だからちょっとだけ時間がかかりました。ブライアン(・リード)が5-0の180アウトを乗ったんで、「うわぁ乗らな」みたいな(笑)。
V: AdのフロントKは?
A: スポットを探せるサイトみたいなのがあるんですよ。それで探してたら「ここってパリなんや」と思って。マニーやろうかなと思ったんですけど、なんか横にかけられそうってなって。あれは写真と動画用に3、4回乗りました。あの使い方はあまり誰もやってなかったっぽくて、角がガリガリで全然滑らなかったんですよ。それで結構育てるのに時間がかかって。たしかダヴィデ(・ホルツクネヒト)がウニョウニョをやってたときに通行人にデッキを軽く当てちゃって。そしたらその通行人がめっちゃ謝ってるのに鬼ブチ切れて。警察も呼ばれたから一回離れて戻ったんですけど…。結構カオスでした。ファッションウィークの後で人が多かったんで、エッフェル塔の見えるトロカデロ広場もめっちゃ人が多くてカオス。みんなで交通整理しながら、着地する場を全員のデッキで囲んだりして(笑)。
V: Numericは厳選された少数精鋭のチームというイメージがあるけど、そこに加入した今の心境ってどんなものなの?
A: そうですね…。チームに誘われたのはうれしかったんですけど、そんな急に契約できるとは思ってなくて。なんか1、2年ぐらい履いて頑張ってみようかなみたいな感じで思ってたんですけど…。結構びっくりしましたね。いろいろ連れて行ってもらってうれしいです。
V: 今後、Numericでやりたいことは?
A: ゆくゆくはカラーウェイを出したいですね。モデルとか。でも今はコツコツと下積みを頑張っていこうかなっていう感じです。
V: 今後の活動で決まってる予定とかはある?
A: Numericのツアーに行って、一度帰国して、もう一回Numericツアーがあります。アメリカに行って忙しい感じです。でももう大学の単位が結構ヤバくて…。頑張ってるけど、単位数は大学の友達に1.5倍差つけられてます(笑)。Numericのツアーはデモがメインで、ふたつをまとめてツアービデオみたいなものを作りたいみたいなことを言ってました。
V: この数年でスケーターとしての新しいチャプターが始まった感があるけど、スケートで形にしたことは?
A: そうですね。Primitiveでデッキ出したいです。「パート作らな」と思いつつ。パートを作ってたら…頑張ったらいけるかな。あとはあわよくばNumericからもいろいろ出したいですね(笑)。
Aimu Yamazuki
@aimu_yamazuki
2005年生まれ、大阪出身。世界屈指のボードコントロールで注目を集める新星。PrimitiveやNumericへの加入も大きな話題に。現在はプロランクを目指し精力的に活動中。









