ADIDAS SKATEBOARDING

なんだこれ?
──クリエイティブなスケシューたち

2026.10.29

スケーターたちは、無いものは自分で作るD.I.Y.精神と、新たな視点の発想に定評があります。そのクリエイティブさは、スケートボードシューズにおいても遺憾なく発揮されてきました。今回は、すでに定番化したものから、まったく流行らなかった斬新なものまで、クリエイティブなスケシューの機能をいろいろと紹介していきたいと思います。

 
オーリーガード

オーリーというトリックが開発されて以来、靴のアッパー部分へのダメージが顕著になりました。そこで、デッキテープで擦れて穴が開きやすい箇所をラバーで補強する、オーリーガードというものが開発されました。 オーリーガードは、'80年代のAirwalkやetniesなど、さまざまなスケートシューズで採用されました。しかし、デザイン面でいまひとつだったこともあり、定番化するには至りませんでした。

 

それでも確かな効果があり、近年でもPuma SkateboardingのSuede Skate Nitroなど、まれに採用されています。

 

シューレースカバー

オーリーやバーチカルでのニースライドでシューレースが擦り切れてしまうことがよくあります。そこで、シューレース全体を覆うカバーを取り付けたモデルが開発されました。'80年代のAirwalkやetniesなどで採用されましたが、やがて時代がバーチカルからストリートへと移行し、ニースライドが行われなくなるにつれて需要も低下。'90年代以降のスケシューで採用されることはほとんどなくなりました。

 

しかし、2023年にetniesから発売されたアンディ・アンダーソンのシグネチャーシューズには、etniesの過去のアーカイブを踏襲した、近年では珍しいシューレースカバーが採用されています。

 

マジックテープアッパー

以前、短命に終わったスケートシューズブランドの記事でも紹介したZero-Twoのスケシューには、生地をマジックテープで好きな場所に張り替えられるアッパーが採用されていました。オーリーで生地が破けても、新しいものに張り替えられるという、非常に画期的な機能です。しかし、その後この機能が定番化することはありませんでした。

 

ヴィーガンシューズ

'90年代初頭にはヴィーガンという思想がスケート界隈にも広がり、スケシュー業界にも動物性素材を使わないシューズを開発するブランドが登場しました。Zero-Twoや、etniesのサブブランドであるSheepなどがその例です。

 

ヴィーガンシューズは現代でも稀に発売されており、例えば、ヴィーガンスケーターであるケニー・アンダーソンのシグネチャーシューズにも、動物性素材は使用されていません。

 

多重ステッチ

オーリーの際に擦れて切れやすいステッチを、複数のステッチで補強する。そんなパワープレーな発想から生まれたのが多重ステッチです。ダブルを通り越してトリプルまでステッチされていることも多く、「スケシュー=ステッチの多さ」と言っても過言ではありません。

 

ス

New Balanceの“N”マークを“にゅ”に変更するカスタムをタレントの所ジョージが行ったことで、スニーカーに日本語が載っていることへの違和感も薄れてきました。しかし、それよりもはるか以前、'90年代にHook Upsからリリースされていたスケシューには、カタカナの“ス”がロゴマークとして載っているものがありました。 この“ス”は、スケートボードでもスニーカーでもなく、スペシャルポリスシリーズの頭文字から取られています。

 

厚タン

'90年代にテクニカルな回し技が流行したことをきっかけに、 回転しているデッキから足を守るためにシュータンが分厚くなっていきました。特に'90年代中盤から'00年代頃のスケシューは、シュータンの厚さに目を見張るものがあります。

 

シューレースループ

オーリーによってシューレースが切れやすいという悩みを解消するアイデアとして、DCのBoxerやPlugには、シューレースを保護するラバー製のシューレースループが採用されました。このシューレースループはデメリットがほとんどなく、'90年代後半のスケシューでは数多く採用されました。しかし、どうしてもデザインがハイテク寄りになってしまうため、ローテクなデザインが流行した'00年代以降は、徐々に採用率が下がっていきました。それでも、ハイテクなデザインのスケシューには現在でも採用されています。

 

スタッシュポケット

シュータンに搭載されたスタッシュポケットは、éSのチャド・マスカのモデルで開発されました。バッグを持ちたくないスケーターにとっては便利な追加ポケットで、さまざまな意味でセキュリティリスクも回避できる優れものです。そのため、ゲットーな地域出身のスケーターのシグネチャーモデルでは定番化しています。

 

ヘリウムガス

Converseが財政破綻する以前の2000年に発売された、シャニー・ジングエニンのシグネチャーシューズには、Nikeのエアを超えるヘリウムガスが注入されており、軽量化を実現しました。その機能性をアピールした当時のCMも、非常に秀逸です。

 

非対称レースステイ

ここまで何度も登場してきた、スケシューの大きな悩みの種でもあるシューレースが切れやすい問題。その最もシンプルかつ確実な解決策が、Clearweatherのスケシューに代表される、非対称のレースステイです。

 

この構造は近年注目のVillage PMなどでも積極的に採用されています。

 

ソックス一体型アッパー

Nike SBのエリック・コストンのシグネチャーモデルに採用されたソックス一体型アッパーです。元々発売されていたサッカースパイクから着想を得て開発されました。足首を固定できフィット感を高めることができますが、見た目の悪さが仇となり、まったく流行りませんでした。

 

ミゾ構造ソール

ASICSがスケートシューズ業界に参入した際、最初に発売されたのがGEL-FLEXKEE。その中でも特にインパクトがあったディテールがミゾ構造ソールでした。この特殊な構造によって屈曲性が向上し、電子レンジに入れるといったハックをしなくても、新品の状態から足に馴染み、滑りやすいという特性があります。ちなみに、この画像のGEL-FLEXKEE PROはそれ以外に、オーリーガード、シューレースカバー、非対称レースステイなど数々の機能が盛り込まれている、今回の記事と相性がいい非常に面白いモデルです。

 

機能的なものからまったく無意味なものまで、今回紹介したもの以外にもスケートシューズにはまだまだたくさんの機能がありますし、今後も新たな機能が開発されていくと思います。そして、20年後、30年後には定番化しているような、驚くべき機能や構造が今後登場するかもしれません。大手の資本が持つ最大のメリットは、やはり開発力だと思います。そのメリットを最大限に活かして、さらなるスケシューの進化を渇望しています。

最後に、筆者が今回紹介したシューズのいくつかを取り上げた動画があります。下記に掲載しておくので、ぜひご覧いただければ幸いです。





 

FRICKS KICKS @fricks_kicks

苦節9年、YouTubeにオリジナル動画150本超で総再生約40万回と超低空飛行中。
コラム一覧:www.vhsmag.com/column/frickskicks/

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