ADIDAS SKATEBOARDING

悪魔の玩具
──THE DEVIL'S TOY

2026.10.29

1966年にカナダ・モントリオールのスケーターたちの姿を記録した『The Devil's Toy』がめちゃくちゃ興味深い。スケートシーン黎明期の空気を伝える、現存する初期のスケートドキュメンタリーのひとつ。

カナダ国立映画制作庁(NFB)のもと、映画監督クロード・ジュトラが手がけた約15分のモノクロ作品。オーリーすら存在しなかった時代の貴重な映像の数々に感動すら覚えてしまいます。

ただし本作は単なるスケートの記録映像ではありません。スケートの流行をまるで社会に蔓延する疫病のように伝える皮肉たっぷりのナレーション。そして警察による取り締まりやデッキの没収など、当時のスケーターたちを取り巻く厳しい現実が描かれています。街で自由に滑ることを禁じられ、狭い屋内リンクへと追いやられる若者の姿がなんとも印象的。「アイスリンクのみで滑るなら没収したスケートボードを返してやる」とは作中に登場する警察官の言葉。

冒頭に掲げられたのは「不寛容のすべての犠牲者へ」というメッセージ。『悪魔の玩具』という挑発的なタイトルも、スケートを危険視する社会への痛烈な風刺。本作はスケートの楽しさを伝えると同時に、自由な表現を抑圧する社会の姿勢を問いかけています。

本作公開からちょうど60年。今日ではスケートボードはオリンピック競技となり、世界中で多くの人に親しまれる存在へと成長(?)しました。しかし街でのスケートをめぐる規制や社会との摩擦は今なお続いています。半世紀以上が経っても、ストリートの事情はさほど変わっていないようです。てか、まったく一緒やんw

トリックもギアも映像表現も大きく進化して変わりましたが、それぞれの視点で自由に滑る場所を街で見つけようとする衝動は変わらず。『The Devil's Toy』に映し出されているのは、60年前のスケートシーンだけではありません。時代を超えて受け継がれる、スケーターの根源的な精神でしょう。

競技として社会に受け入れられるのもいいですが、やっぱりある程度は街で煙たがられるくらい自由でありたい。そんなことを改めて考えさせられる、60年前の悪魔の玩具の魅力を感じてみてください。

—MK

 

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