Nike SB dojo | スケートパーク

GRAND COLLECTIONのジャパンツアーで来日を果たしたウェイド・デザルモ。精密なボードコントロールで人気を誇るテクニシャンのルーツとブランドの魅力を紐解く。
──WADE DESARMO

2020.01.07

[ JAPANESE / ENGLISH ]

Photo courtesy of_Grand Collection
Special thanks_Kukunochi

VHSMAG(以下V): カナダの首都のオタワ出身だよね。今はどこを拠点にしているの?

ウェイド・デザルモ(以下W): トロントだね。オタワから車で4時間くらい。

V: 子供の頃は空手のチャンピオンだったって聞いたけど。

W: かなり前だけどね。どちらもフォームとテクニックが大切だから、空手で学んだことがスケートに役立っていると思う。空手もスケートもひとりで向き合うもの。空手を通して自信を持つことができたし、人との接し方やリスペクトの精神を学ぶことができたと思う。

V: スケートとの出会いは?

W: 11歳のクリスマスにスケートボードを買ってもらったんだけど、ずっと放置していた。あるとき公園にある木のレッジでボードスライドをやっていたスケーターを見て「楽しそう!」って思ったんだ。それでずっと放置していたデッキを取りに帰って話しかけることにした。3歳年上のその人とはオタワを離れるまでずっとスケート仲間。

V: スケートを始めた頃に観たビデオは?

W: 最初の1年半はビデオを観たことすらなかったんだ。それでスケート仲間に初めてビデオを見せてもらってそのことを例の年上のスケーターに伝えたら「これまでビデオを観たことがないのか?」って。彼にはいろいろ教えてもらった。411VMの『Europe 1995』を見せてもらってトム・ペニーにハマったんだ。

V: カナダのスケーターはアメリカと自分の国とどっちのシーンに影響されているの?

W: カナダはアメリカと近いから、どうしてもドメスブランドはうまくいかない。トロントからNYは車で8時間ほどだし、西海岸だとバンクーバーから2時間でシアトルに行ける。だからみんなアメリカのブランドにフックアップされるのを目標にしていると思う。

V: カナダのシーンを飛び出してアメリカのブランドにフックアップされた経緯は?

W: 通常、それなりのスキルがあるスケーターはまずショップを通してブランドにフックアップされる。アメリカのブランドのディストリビューターがショップを通してフロウライダーをサポートするんだ。ラッキーなことにオレもそうやってディストリビューターのライダーになってアメリカのDGKチームに加入できた。S&J Distributionのチャド・アルバートっていう人がオレのフッテージを送ってくれたことがきっかけだった。今でも本当にありがたいと思っている。

V: Dimeについては?

W: オレが生まれ育ったオタワはDimeの拠点であるモントリオールから近いんだ。冬は寒さが厳しいし雪が降るから半年くらいスケートができなくなる。インドアのスケートパークがモントリオールにあるから冬になるとよく滑りに行っていた。そこでDimeの連中と出会ったんだ。年齢も近いし、ずっと連絡を取り合っていてお互いモントリオールとオタワを行き来しながら一緒に滑っていた。そして数年前に彼らがGlory Challengeをスタートさせた。面白いアイデアが満載だし、仲間だからできる限り協力しようと思ったんだ。

V: Glory Challengeはヤバいね。

W: 初回が一番ヤバかった。会場は映画『ファイトクラブ』みたいな感じの工業地域のロフトスペース。エレベーターで上の階に行くとホコリだからけの空間にヤバい招待スケーターたちがいるんだ。そしてその周りの観客は少しだけ。ドープだったね。

V: Game of Skateの顔役に抜擢されたのは?

W: なんでだろうね? Dimeは独創的なんだ。それでいろいろ考えた結果、オレが抜擢されたんだと思う。ただラッキーだっただけだね。

V: これまでの対戦相手は?

W: 初年はエリック・リードル。翌年はジャマール・スミス。そしてティアゴ・レモスにイショッド・ウェア。ただ楽しむことがイベントの目的。みんなが観たいと思うことを形にしているんだ。まあ、Game of Skateをみんな観たいかどうかわからないけど…。でも毎年セクションがユニークだから楽しいね。
 


スケートはグローバルなものになったから特定の中心地なんて存在しない

V: トロントが拠点ということだけど、カナダを離れない理由は?

W: その質問の答えはいろいろあるけど、基本的に地元が好きなんだ。カナダに誇りも持っている。初めてカリフォルニアに行ったときもインダストリーに魅力を感じられなかったというか…。でも幸運なことにインダストリーの一員になることになった。それは今でも毎日感謝している。スケートが仕事になったのは本当にうれしい。ただLAに住まなければスケートで成功できないってのはおかしいと思うんだ。だって結局いろんな街や国でツアーをして撮影するようになるんだから。スティービー・ウィリアムスがかつてこう言っていた。「地元で生産的に動けていればそれでいい。だらければキックアウトされるだけ」。だからちゃんと動いていればどこに住んでいても問題ない。スケートはグローバルなものになったから特定の中心地なんてもう存在しないと思う。

V: たしかにそうだね。ではGrand Collectionにフックアップされたきっかけは?

W: すべてはオーナーのビッグベンのおかげ。あまり知られていないけどヤツはカナダ人なんだ。夏になるとオタワのパークに滑りに来ていたから古くからの仲間。ヤツは出会った頃からずっと変わらない。素晴らしいヤツなんだ。

V: じゃあカナダからNYに移ってGrand Collectionを始めたってわけだね。

W: そう。ブランドの立ち上げから手伝っている。お互いアイデアを出し合ったんだけど、センスが似ているからすべてがスムースだった。ビッグベンもオレもクリーンでシンプルな服を求めていた。特に当時は全面プリントが流行っていて自分のスポンサーの服ですら着たくなかったくらい。普通の白Teeやロゴが主張しない服を着たかった。ビッグベンも同じように感じていたんだ。うるさくなくて極めて控えめで高品質な服がオレらは欲しかった。そうしてすべて上手く行った感じかな。

V: ブランドの立ち上げは2016年の終わりだよね。

W: そうだね。ツアーに出ても何も強要されることもない。みんなでハングアウトして、みんなGrand Collectionのギアを気に入って着ている。ライダーじゃなかったとしても買って着たいと思えるほど。だから本当に幸運だと思う。ビデオの編集にしてもビッグベンが確固としたヴィジョンを持っている。プロジェクトを形にするモチベーションも高い。プロジェクトの指揮を執っているのが親友なんだから全力で力になりたいんだ。ヤツは本物のホーミーなんだ。ビッグベンをがっかりさせたくないから、ヤツのためなら何でもやる。いつもオレらをサポートしてくれているんだから。

V: 初期のオンラインビデオに「ナオミ」や「シンディ」といったモデルの名前を採用していたよね。Vogue編集長のアナ・ウィンターのクリップも使っていた。アパレルブランドということでコンセプトがしっかりしている印象がある。

W: それもすべてビッグベン。Grand Collectionはヤツのブレインチャイルドだから、オレらライダーは作品の素材でしかない。ビッグベンがすべての知識とヴィジョンを持っているんだ。
 



 

V: ではGrand Collectionで印象的なプロジェクトは?

W: すべてだね。今この瞬間も印象的だよ。だってみんなで日本に来ることができたんだから。キックアウトが多くてあまりフッテージは撮れなかったけどまた戻って来たいと思う。だって最高の仲間と一緒に時間を過ごせたんだから。いつでもみんなと会えるわけじゃないし。

V: みんな住んでいる場所が違うもんね。

W: そうなんだ。スペンサー(・ハミルトン)はバンクーバーでオレはトロント。他の連中はNYでダッチー(ブライアン・デラニー)はボストン。だからみんなで集まるのが難しいからこそ、集まったときは最高。無駄な瞬間なんて1秒たりともない。

V: 昨年はGrand Collectionからパートを出していたよね。

W: もともとはイーストコーストだけで撮影しようと思っていたけどね。でもイーストコーストは冬が厳しいからパートを完成させるためにLAのフッテージを入れる必要があった。トロントは大都市だからキックアウトだらけ。NYも同じ。フィルマーとのスケジュールを合わせるのも難しい。でもどうにか完成させることができてよかった。ビッグベンが喜んでくれたらそれだけで十分。
 


 

V: Grand Collectionの最新作“Tonal”も公開されたよね。

W: いい仕上がりだったと思う。みんなスタイルがあるスケーターばかりだし。それを観れただけでもうれしい。

V: 今はいろんなブランドがあって飽和状態だとは思うけど、Grand Collectionの魅力は?

W: やりすぎないところかな。それが魅力だと思う。オレらはほとんどのアパレルブランドの対極にいると思う。過度にプロモーションをしたり奇抜なデザインにしたり…巷のブランドの99%が客の注意を引こうとがんばりすぎているような気がするんだ。でもオレたちは違う。何よりも品質を大切にしたい。ミニマルで、デザイン、色使い、シルエットもクリーン。すべてがケンカすることなく調和している。ルックスやフィットが最高だから人の目に留まるんだ。オレがGrand Collectionのギアに惹かれるのはそこに大きなロゴがないから。何のブランドか知るにはロゴを探さなければならないくらい。強引にロゴを押し付けるようなことは絶対にしない。
 

V: 11月にはPrimitiveの『Encore』でパートを残したばかりだよね。今後の活動予定は?

W: Grand Collectionに関して言えばこれまでと変わらずやっていくだけ。高品質のギアを作ってそれらがみんなに気に入ってもらえれば最高。ツアーにも行きたい。オレはシンプルな男だから引き続き楽しみながら撮影することができればいいかな。好き嫌いなんて言えないし。やりたいトリックを撮影したい。それだけ。それを今もできていることに感謝したいと思う。そしてビッグベンに貢献できていることがうれしくてならない。

 

Wade DesArmo

1984年生まれ、カナダ・オタワ出身。回し系を駆使したブロックトリックに定評があるカナダのテクニカルマスター。謙虚な姿勢のスーパーナイスガイ。Primitive、éSやGrand Collectionのメンバーとして精力的に撮影中。
@wadedesarmo

 

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