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シンプルだからこそ奥深い
──前人未到のオーリー

2017.06.15

 つねに進化を続けるスケートボードの世界において、レッジでの超絶テクニカルなコンボトリックや「この手もあったか」と思わせるひねりの効いたスケートが次から次へと生み出されています。毎年、いや毎日のように繰り広げられる進化は凄まじいもので、つい数年前には誰も考えつかなかったようなスケートが、トレンドとして下々の自分たちまでにも定着することだってあります。しかし世界の最先端をいくようなトリックやトレンディな動きも、基本にオーリーがあってこそ。僕がそんなことを言うのもおこがましいぐらいですが、シンプルなオーリーで人を魅了するのは難しく、なおかつ美しいことだと思います。
 究極のオーリーを武器に活躍するスケーターはいつの時代にもいます。ハイオーリーの持ち主だったり、ストリートやトランジションでのハンマー、はたまたクイックな動きでスポットをさばいたり。千里の道も一歩からと言いますか、前人未到の場所で繰り出される技の第一歩の多くは、まずオーリーであるはずです。トランジションで生み出されたオーリーの動きがやがてフラットトリックとなり、ステアやギャップ、メガランプに至るまでその場所場所での最初のオーリーは我々スケートボーダーにとって忘れがたいものとなっているはずです。僕は当事者でないのですが、例えばウォーレンバーグのビッグ4での初めてのオーリーなんて、かなりの衝撃だったのではないでしょうか。
 僕の地元沖縄にも物凄いオーリーの持ち主がいます。長年沖縄のシーンを引っ張ってきた才(哲治)さんですが、僕も彼に影響を受けて育ったひとりです。そしてビデオの中やストリート、またはコンテストでも記憶にも残るオーリーを目の当たりにしてきました。僕がスケートを始めたての頃に見たローカルビデオで飛びまくっていた大先輩が、15年以上の時を経て昨年カバーパートを発表し胸が熱くなったのでこちらも合わせてYo! Chuiいただけたらと思います。
 ふとここまで書いてみて思ったのが、自分のこれまでの中でのベストオーリーがパッと思い浮かばない...。可能性を探してまだまだ課題が山積みでございます。

—Kazuaki Tamaki

 

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