
実家にいた10代の頃、自力でどこかにいくとなると、徒歩以外の主な交通手段は路線バス。スケートボードを始めてからは「プッシュ」というものが新たな交通手段として加わることになりました。しかし免許もなければバイクや自転車も持っていなかったので、やはりバスで移動することが多々ありました。通学もバス、ちょっと離れたスポットやパークに行くのもバス、そんなところ。
バスでの移動を面倒に思ったことがなく、逆に楽しんでいるくらいでもありました。今思うとメチャクチャな話なんですが、通学で使っていたバス回数券は家と学校の最寄りの区間と定められたものにかかわらず、まったく関係のない区間や路線で使うことができました。さらには遠くまで行き運賃が高くなる場合は現金と併用も可、回数券を1度に複数枚使うっていう手段もありました。たぶん非公認だけど、そのおかげであちこちへと滑りに行けたのだから、こちらとしてはありがたい限り。
そのようにバスが日常的にある生活で、俗に言う「乗り鉄」ならぬ「乗りバス」的な側面も自分にはあったように思います。バス的に貼られた路線図を参考に初めて乗る路線のワクワクを楽しみ、時に多少の遠回りをしつつ目的地へと向かいます。また自分がよく使っていた路線バスもそうだったんですが、当時地元のバスには車種の統一感がまるでなかったように思います。同じ路線のバスでもかなり年季の入ったビンテージっぽい車種もあれば、どこかの観光バスを払い下げてきて、そのまま路線バスとして再利用しているようなプチ豪華な車種もあったりと、そのランダム具合もバスに乗る楽しさを2割増しにしてくれたものでした。
地元を出て上京し、主な移動手段は必然的に電車へと変わったことで、路線バスに乗る機会はかなり少なくなりました。いつからだろうか、バスに乗ることが次第に億劫に感じるように。でもたまにふとしたタイミングで、その辺を走るバスに乗ってどっかに出かけてみたくもなったりするんすよね、デッキ持って。
—Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)