埼玉県川口のBBCに新たに誕生する屋内コンクリートボウル。この注目のボウル再建プロジェクトでデザインを担当した冨川蒼太とMBM Parkbuildersの現場職長を務めた吉澤郁弥による対談インタビュー。製作の裏側からボウルに込めたこだわり、そしてこれからのスケートシーンへの想いを語ってもらった。
──BBC BOWL
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Special thanks_MBM Parkbuilders
VHSMAG(以下VM): まずはトミソウがMBMとどのような関係で今回のボウルのデザインを手掛けることになったのか、経緯から教えてください。
冨川蒼太(以下ST): もともとAXISができた頃からAdvance CupなどでMBMが作ったパークによく通っていて、木村さん(MBM会長)やローカルのみんなと仲良くなったのがきっかけです。中学生の頃はライダーとしてサポートしてもらっていました。その後、茨城に引っ越したことで作業しているみんなともっと深く絡むようになりました。本当に仲がいい仲間というポジションです。
VM: 今回のコンクリートボウルのデザインを頼まれたきっかけは?
ST: 急に木村さんから話をもらいました。BBCとMBMでいろいろやることになったという話のなかで、「ボウルを作り直すから設計してみない? いい案ある?」って聞かれて。「マジっすか! オレでいいんですか?」って(笑)。もともと「日本にもアメリカみたいなパークを作りたいですね」って木村さんとずっと話していて、今回は試験的な1個目としてBBCで考えさせてもらった感じです。
VM: そして郁弥くんが今回の現場職長に任命されたと。
吉澤郁弥(以下FY): はい、そうですね。
VM: もともとふたりも仲がいいんだよね?
ST: ほぼ毎日AXISで会ってて、一緒に滑ったりしてます。

VM: デザインの段階でふたりでやり取りすることはありましたか?
FY: いや、木村さんとトミソウの間である程度イメージがついた図面が僕に送られてきて、それを見て作ったという形です。
VM: 最初に図面を見たときの第一印象は?
FY: 「速そうだな」っていうのと、エクステンションの幅が狭いので「結構難しそうだな」と思いました(笑)。
VM: デザインするにあたって、トミソウのなかでコンセプトはありましたか?
ST: 一番考えていたのは「近所にあったら絶対にうれしいボウル」です。屋内で雨でも滑れて、エアコンもついていて。近くにあって快適に滑れて、どんな層でも楽しく滑れるボウルをイメージしました。
VM: 以前の木製ボウルと比べてかなり変わったよね。
ST: 元の木製ボウルは真ん中にスパインがあって、どうしても狭い印象が残っていました。だからスパインなしでひとつに繋げて、コンクリートで作ると聞いていたので段差をつけて高低差をコントロールすればスピードも十分つくし楽しくなるんじゃないかなと。以前のものとはまったく別物ですね。
VM: 実際の現場施工で大変だった部分は?
FY: やっぱり現場の狭さですね。作業スペースが全然なくてどうしようかと。でも逆に人数が少ない方がひとりひとりの動ける幅が広がるので良かったですね。実は現場を任されたのが今回初めてで、かなりのプレッシャーを感じていました(笑)。
VM: シャローからディープへ落ちる高低差のデザインはどうやって決まったの?
ST: もともとは全体の地面をフラットに掘る予定だったんですけど、途中で梁が出てきてそこより手前が掘れなくなっちゃって。「奥なら掘れます」となったので奥を全部掘ってもらったら、ちょうど頭上の柱の位置だったんです。じゃあそこからシャローとディープにして段差を一気につけちゃおうという話になりました。結果的にフローターができて、アメリカのボウルっぽくなってそっちの方が面白くなったと思います。
FY: 下が土で上が木パネルの構造だったので、今日コンクリートを打ったときもすごく流れてきちゃって。それを止めるためにラス網をいつもより重なるようにレイヤー組みしたり、現場で臨機応変に対応しました。かなりDIY感が強い現場でしたね。
VM: このボウルのセールスポイントや、トミソウらしいこだわりについて教えてください。
ST: ラウンドの角度やRの角度にはかなりこだわりました。ただきついだけ、ただ狭くて速くてキュンキュンなボウルじゃダメだなと思っていて。誰でも滑って上手くなれるのがスケボーの楽しさなので、ミニランプとしても使えて、ボウルとして回る練習もできる。で、一番高いところに行くにはラウンドを使わないと絶対に無理な設計になっています。「スケボーをうまくさせる装置」みたいな感じですね。ここを攻略できれば、他の難しいボウルに行ってもヒップとスパイン以外なら対応できるようになるイメージです。
VM: 他に気になるディテールは?
FY: シャローからディープに落ちるウォーターフォールでスピードがめっちゃつくところや、エクステンションとの高低差が約600mmあるところですね。ムズ面白そうだなと。あと、コーピングにバッテン(×)の切れ込みが入る予定です。「ガラガラガラ」って音がしてグラインドの感触がめちゃくちゃ気持ちいいはずなので、自分もめちゃくちゃ楽しみです。
VM: コーピングに切れ込みが入るの?
ST: 前に松阪でAJSAの大会があったとき、1箇所だけスチールコーピングにバッテンの切れ込みが入っていて、グラインドしたときに「これ気持ちよくない? BBCでもやっちゃう?」ってなって。完全にその場のノリで全コーピングに切れ込みを入れることになりました(笑)。
VM: MBMの自社デザインと比べて、トミソウのデザインが入ったことで変わった点は?
FY: MBMのメンバーだけで作ると、みんなRがきついのを好むのでマニアックで癖のあるデザインになりがちなんです。でもトミソウがデザインしてくれたおかげで、ランプの練習にもなるしボウルで回ることもできる、みんなでワイワイ滑れる面白いデザインになったと思います。
VM: では今回のボウルは度外視して、トミソウ的にベストと思うボウルは?
ST: どうだろう。アメリカのパーク基準にはなっちゃうんですけど、オーシャンサイドのプリンスパークのボウル。本当に自由に作れるんだったらプリンスパークが欲しいなと思っているくらいなんで。あとポートランドのピアパークっていうところがあって、そことかは結構デカボウルのなかではベスト。気持ち良くて面白いと思います。
VM: 気持ちいいというのはラインが組めるということ?
ST: そうですね。ずっとスピードが落ちずに踏むアイテムがいっぱいあるのが結構好きで。最近の大会っぽいパークもかなりスピードが落ちなくて最高ではあるんですけど、もっと踏んでいける感じで、グラインドで流してもまたRが来る感じ。開けているのにできることがいっぱいあるボウルがベストな気がします。
VM: 話は変わるけど、オリンピックで草木ひなののコーチを務めてライン組みなどをサポートしてたよね。指導する立場も経験したわけだけど、当時意識していたことは?
ST: できることをただやらせるだけじゃ上手くならないので、ずっと無理を言って、それができればラインに組み込むということをやっていました。このボウルも同じで、簡単にはできない部分があるからこそ、やってみてできるようになる過程で上手くなっていくのが面白いと思っています。自分自身がグラインドが得意なのもあって、彼女に足りなかったグラインドの技を教えていた感じですね。
VM: 「トミソウは褒めてくれない」って言っていたような気がする(笑)。
ST: いや、褒めていたはずなんですけどね(笑)。「今のめっちゃいいじゃん」って言っていた気がします。ひなの自身もスケボーがすごく上手くて乗れている子なので、アドバイスしたり見せたりすればすぐできちゃうんですよ。だからこそ自分自身が滑ってお手本を見せられるというのも、コーチとしてのひとつの強みだったのかなと思います。
VM: ではこのボウルの完成後、この場所がどのように使われていってほしいですか?
FY: スケーターもBMXもいろんな人が来て、みんなで盛り上がっている姿が見られたら作った甲斐がありますね。ここがもっと大きなコミュニティスペースになってくれたら最高です。
ST: 「ここでスケボーを始めました」「ここでずっと練習してました」っていう子が、映像に出てきたり大会で勝ったりするのを見るのが一番の楽しみですね。あとは設計段階でまったく想定していなかったラインやトリッキーな乗り方をするヤツが出てくるのが一番面白いです。「そこ行っちゃうの!?」みたいな(笑)。
VM: 今後、このコンビでまた新しいパークを作るとしたらどんなものを作りたい?
FY: デザインに関してはトミソウに任せた方がいいと思うので、今後も個人的に「ここどうしたらいい?」って相談することが増えると思います(笑)。
ST: やっぱりアメリカみたいなパークを作りたいですね。ここ数年で日本にもでかいパークが増えたじゃないですか。でも「ストリートコース」「パークコース」って分かれちゃうのがどうしても多いイメージがあるので。キレイでスネークランもありつつ、どこでもテールが叩けて、ボウルもあって…。バンクtoバンクやクイックなRも外周にあって、みたいな。どんな上手いスケーターが来ても1回苦戦して帰るようなパークを作りたいです。
VM: 完成予定と最後に一言お願いします。
FY: 10月中には完成できればと思っています。任せてください!
ST: 完成したらめちゃくちゃ滑り倒しましょう。ありがとうございました!


MBM Parkbuilders
@mbm_parkbuilders
全国各地で公共・民間を問わず数多くのスケートパークの設計・施工を手掛ける日本を代表するスケートパークビルダー。スケーターの視点を生かしたパークづくりを信条とする。BBCのリニューアルに際し、ボウルの再建をスケーターの冨川蒼太と現場職長の吉澤郁弥が担当。





























