
先日、ウクライナから1通のメールが届きました。送り元は同国北東部、ロシア国境からわずか40kmのオフティールカという街。現在は停電や空襲警報、そして戦争の気配が日常的に漂う悪夢のような場所。そんな街で若者たちがスケートボードと工具を手に自分たちの居場所を作り上げたとのこと。
その空間の名前はKrytka(クリトカ)。荒れた廃屋を改装してインドアスケートパーク兼カルチャースペースとして蘇らせました。戦火のなかで奪われた自由を若者たちに取り戻させるスペースとなっています。
このプロジェクトを立ち上げたのは地元の非営利団体であるStreet Cultures Development Center。本プロジェクトに着手したのは2018年とのことですが、Krytkaの建設は2023年から本格化。地元のスケーターやミュージシャン、仲間たちが力を合わせ、錆びついた建物に新しい命を吹き込んでいきました。
「一本一本のボルトを締めることが小さな抵抗運動だった。砲撃が聞こえる日も電気がない日も黙々と作業を続けた。この空間ができていく度に希望も少しずつ育っていった」。そう語るのは、メールの送り主であり、団体の共同設立者でもあるパヴロ・イフナチェンコ。
現在、Krytkaの誕生とその背景にあるストーリーを収録したドキュメンタリーフィルムの制作が進行中。そしてこの空間の拡張や若者に向けたプログラムの運営、ドキュメンタリーの完成に向けて、国際的な支援やメディアの協力を求めています。
Krytkaは戦火の前線にありながら、若者たちが何もない場所から築き上げたひとつのコミュニティ。戦争のなかで若者たちが選んだもうひとつの抵抗をフォトストーリーでチェックしてください。
—MK
@streetculturesokhtyrka / @pavlo_sc