2024年を振り返るにはまだ少々早いかな…ってところではありますが、国内においては能登の大地震に始まり、無慈悲で凶悪な犯罪が多発し、物価高騰にあえぐ中でも増税案が絶えなかったりと、世の中なんとも暗いニュースが続きます。ダークサイドに陥りつつある国内情勢ではありますが海外から来日するスケーターの数はかつてのように増え、その一方で日本から飛び出して世界的な活躍を見せるスケーターの数も増えるばかり。ここ最近だとAprilから岸 海、Magentaから座間翔吾のプロモデル発表に日本が沸いたかと思えば、この原稿に取り掛かり始めた本日(日本時間の12月11日)にはPrimitiveから山下京之助のプロボードがリリースされるという快挙が発表されたばかり。とても喜ばしい! いやー、「この先の日本や世界を明るくしていくパワーの源ってのは、実はスケートシーンにあるんじゃないの?」って思ってみたりするアルよ。もっともスケーターなんて生物は楽しく滑って本人が満足してる場合が99.9%なんで、世の中を明るくするために滑ってる人物なんてのは皆無のはずだけど。
今でこそ世界のスケートシーンに何人もの日本人が肩を並べる世の中になりましたが、「やっぱり外タレ強ぇぇ!」と思うことも少なくないわけでして、それは規格外のハンマースポットだと特にそう思います。日本のスケーターが海外でNBDをメイクって話題になることも今や珍しい話ではありませんが(そもそもABDでは映像も写真も基本的には使用されませんが)、かつて来日したスケーターがトリックを残したまま、自分の知る限りでは今なおトリック更新どころか誰にも手付かずのスポットも存在しています。この原稿を作りながら思い浮かんだものをいくつか。
・新宿20段
新宿西口の高層ビルが立ち並ぶオフィス街で繰り出された、ディエゴ・ブッチエリによる20段ステアでのオーリー。これが収録されたToy Machine『Good And Evil』がリリースされたのは今から20年も昔のこと。アプローチもラフなこのステアはスケーター目線でも到底スポットだとは思えません。
・渋谷道玄坂のレールオーバー
かれこれ一昔前になりましたが、かなり話題になったので記憶している人も多いことでしょう。Jawsことアーロン・ホモキによる渋谷道玄坂沿いの建物2階からのハンドレール越えオーリー。落差、レール越え、着地が上り坂であるというだけでも飛べる人なんてほぼ皆無でしょ。さらにエントランスは飲食店の入り口でもあり、着地地点にはつねに歩行者が行き交います。渋谷といえば例の14段が観光地スポットと化した現在ですが、この道玄坂のスポットもついでに観光されてみては。きっと信じられないはず。
・ダブルキンクのハンドレール
5年ほど前にEmericaチームが来日の際、ケビン・ベッケルがやってのけた木場公園のダブルでキンクした特大レールにも日本がざわつきました。
パッと思い浮かんだのを挙げてみましたが、日本全国津々浦々他にも少なからず出てくるはず。そんなスポットの数々、この先、日本人が新しくトリックを更新するのか、それとも外タレがブチかますのか? もしくはスポットがRIPしてしまうのか…? なにはともあれ異国の地で、限られた時間、見知らぬ空気の中でそれだけのことをこなすってハンパない。庶民の我輩にはまったくわからないので問うてみたい。「あれからまだ誰にも攻められていないスポットレコードを持っている気分はどうだい?」
—Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)