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 人間というのはどんなことにもつねに対応していく生物だと思います。いつ…
──第18回:歯磨きしないの?

2015.06.30

 人間というのはどんなことにもつねに対応していく生物だと思います。いつの時代にも「最近の若いもんは……」という言葉が存在するってのが証拠で、環境はつねに変わっていきます。そしてそれに対応して行かなければならないのです。昔の考え方は現代では通用しなかったり今の環境にはフィットしなかったりしますが、古き良きをしっかり押さえつつ、ニュースクールなスタイルをどんどん取り入れるのがクールかつスマートかと思います。自分の子供にはそんな風に育ってほしいものです。

 '90年代後半から普及し始めた携帯電話も初めて持ったときは(高校生だったためPHSでしたが)テンションが上がりすぎて待ち合わせ場所で待っている友達に自分の居場所を実況中継しながら向かったりという、なんとも意味の無いことで楽しんでいました。インターネットは何度聞いてもそれ自体の意味が分からずに知ってるフリを半年以上続けました。今ではデカいなと思うような初期のiPodなどには、こんなに小さいものに何千曲も入ってしまったり、CDやテープを入れ替えなくていいことに対して「もうそれ反則だろ」というような感情でしか解釈できないほど意味が分からなかったです。時代はどんどん変わり「凄い!」と思っていることは目の前で見ているうちに「当たり前」になるのです。今ではいちいち「スゲー!」と思っていたことは携帯ひとつで事足りますし、それに対しては「スゴい感」より「当たり前感」の方が勝っています。

 スケートボードにも同じようなことが言えます。自分の目で見たことは現実で、それを受け入れることで対応していくのです。僕がスケボーを始めたばかりの中学生の頃、友達のスケボーでちょっとのオーリーとギコさ満点のヒールフリップしかできなかった僕は生まれて初めて渋谷に遊びに行き、渋谷にある某ショップで初めてのコンプリを買うべく商品を吟味していました。そこで店にいた見ず知らずの兄ちゃんがいきなりデッキ売り場の前で360フリップをキメていました。ビデオでしか見たことのない、ほぼ神業に近いような現実味ゼロだったトリックを初めて目の前で見てテンション上がりまくって、それまで吟味しまくっていたのが嘘の如く、とにかく予算に一番近いコンプリを即購入し一目散に地元に帰り、今さっき見た360フリップを思い出しながら真似してやってみたら奇跡的に一度乗れました。さすがにそのとき「うわぁ、人間ってのは対応していく生物なんだ、すごい! すごいぞ!」とはまったく思いませんでしたが、後から考えるとそういうことなんだな……と。

 病気やウィルスもそうです。一度くらうと細胞はそれに対応し「お前の技は見抜いた、次は勝っちゃうよ」といった具合に強くなって行きます。薬を飲んで治すという方法もありますが、個人的には人間の持つ自己治癒力を高めるのが根本的な解決になるような気がします。ちょっと違う話ですが、前にベン・レイボーンのインタビューを読んだ時にかなりビックリすることが書いてありました。彼は“臭い”で有名らしく、風呂にもあまり入らない、歯も磨かないそうです。風呂の方はスケートして汗もかくんだし「まあ入ってくれよ」というところですが「歯を磨かない」に関しては「歯は磨くから虫歯になるんだよ!」と父親に言われて育ったそうです。唾液などの本来の力を十分に発揮できれば歯磨きなんて必要ないぜ、ということでしょうか、実際に虫歯があるのかどうかは触れていませんでしたが、歯医者に行ったことは人生で一度も無いと語っていました。虫歯菌を一切寄せ付けない程、自身の口内の戦闘力が驚異的に高いということなのかもしれません。ただ「臭い」という事実は変わらないとは思いますが……。まあ、あんなイカれたくらいスケボーうまい人なら細胞レベルで常人とは違うのも納得できる気がします。

 僕らの住むここ日本でも環境はどんどん変わり、放射能や細菌、ウイルスに病気など、気にしなければいけないことが沢山あります。自分や家族の食べる物は最低限気にする必要があります。しかしそれのせいで臆病になり何もできないような生活を送ったり、ストレスを感じながら生きて行くのは意味が無いように思います。ある程度許容範囲を広げ、ちょっとの外敵に侵入を許してしまっても自分の細胞を鍛えてそれに対応して行く、というよりそれに打ち勝てるような身体を作り、乗り越えて行く方がよりハッピーに生きて行けるのではないでしょうか。何にも負けない最強の身体なんて魅力的すぎます。最強の身体作り……そこに関しては正直あまり詳しくはありませんが、昔から変わらない味噌や、海藻、豆、漬け物に玄米といった日本古来の食事だったり、身体を動す、早寝早起き、健康的な生活をしていくという、古き良きに習うのがいいような気がします。僕のおばあちゃんは長崎にずっと住み原爆を経験していますが、まだ元気に生きています。そういうものを目の当たりにしていると、人間の対応力や滑らかさってとても素晴らしいなと思います。

 そう、冒頭に出てきた渋谷で初めてコンプリを買った時にもうひとつ強烈な思い出があります。コンプリを買ったはいいものの、渋谷駅の場所がよくわからなくなってしまって、路上でお香とか売っているラスタっぽい兄ちゃんに恐る恐る「あの~渋谷ってどっちですか?」って聞くと、その兄ちゃんは自分の真下をつんつん指差しながら「ココ、渋谷ぁ」と……。初めて大都会を感じた瞬間でした。そのときの自分の間抜けな顔を写真にでも撮って眺めてみたいですね。

Daisuke Miyajima
@jimabien

M×M×Mの敏腕スタッフにして自称映像作家のジマこと宮島大介。伝家の宝刀Fs 180フリップをなくした今、どこへ向かっていけばいいのか迷走中。本能の閃きをたよりに書き綴る出口なしコラム。

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