佐賀県唐津市の松浦河畔公園内に、待望の新しいローラースポーツパークが誕生。デザインおよび施工を手掛けたのは、日本全国で数々のスケートパークを生み出してきたMBM Parkbuilders。現場職長を務めた吉澤大輝、現場で施工にあたった職人の川本晃士、そして唐津市スケートボード連盟・スケートショップPOSSIの田中裕介の3名による対談を実施。2年越しの協議からパークに込めた未来への想いまでを語ってもらった。
──KARATSU ROLLER SPORTS PARK
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Special thanks_MBM Parkbuilders, Karatsu Skateboard Federation
VHSMAG(以下VM): まず軽く自己紹介からお願いします。
田中裕介(以下YT): 田中裕介です。スケートショップのPOSSIをやっていて、佐賀県や唐津のスケートボード連盟に関わっています。
吉澤大輝(以下DY): MBMの吉澤です。この現場の職長をやらせてもらっています。
川本晃士(以下KK): MBMの川本晃士です。職人として施工に入りました。
VM: 今回パークができたこの場所は、元々どんな場所だったんですか?
YT: 最初はセクションなんて何もなくて、ただ作って勝手に滑っていいよっていう空き地みたいな場所でしたね。
VM: 唐津のスケーターにとってはどういう場所だったんでしょう? ローカルシーンはどんな感じですか?
YT: ここはみんなが自由に使っていたフリーな場所でした。昔は福岡や伊万里、武雄からもスケーターがたくさん滑りに来ていました。唐津のスケートシーンとしては、二タ子地区の方で毎年大会を開催していた経緯もあります。

VM: こんな立派なパークができるきっかけは何だったんですか?
YT: この河畔公園の50年ぶりの再整備で、市の方からスケートパークを作ろうという話が持ち上がったのがきっかけです。僕たちローカル側からもずっと「パークを作ってほしい」と市に働きかけてはいたんです。ただ、以前のパークはスケートボードを専門としていない施工業者が作ったこともあって、実際に滑ってみると使いづらく、地元のスケーターからは改善を求める声が多くありました。だから行政との話し合いのときに「ちゃんとスケートパークを作っている専門業者にお願いしてほしい」と要望を出して、MBMさんにお願いできることになりました。今回完成したストリートのエリアに加えて、スネークランやパークエリアも増設される予定です。
DY: 元々あった古いバンクもかなりクセのある角度だったんですけど、あれはあれで難しくてめっちゃやりがいがありました。
VM: MBMとして、今回のパークのデザインはどのように進めていったんですか?
DY: 最初はうちからベースとなるフレームワーク案を出して、そこから2年近く協議を重ねました。ただ、僕たちが入った段階ではまだベース案のままだったので、そこから僕や裕介さん、ローカルのみなさんで打ち合わせをして、セクションのスペックや配置の変更・追加を固めていきました。
YT: 写真でやり取りしたり、自分たちで粘土で作った模型を送ったりして、MBMの木村さんとやり取りをしながらスタートしましたね。
VM: ローカルサイドからはどんな要望を出したんですか?
YT: 穴が開いているセクションや、チャイナバンク風のレッジなんかをリクエストしました。実は一番最初のデザイン案では、半分冗談で呼子名物のイカの形をしたセクション案を送ったんですよ。イカの足が全部レールになっているやつ。それは軽く却下されて、木村さんからナスビみたいな形で返されてきて(笑)。それがパーク中央の島のセクションに変化していきましたね。
DY: でも最終的に作った島セクションの横にあるヒップバンクのRの形は、出来上がってみたら偶然にもイカの頭っぽい形になりました。結果的にイカの頭だけが残ったという(笑)。

VM: 完成したパークのコンセプトを一言で表すとどうなりますか?
DY: 「自由度が高いパーク」ですね。
KK: レールなどのセクションもめちゃくちゃ高すぎるわけではないので、子供から大人まで楽しめる優しいパークだと思います。
VM: 施工の技術面や設計として、一番のセールスポイントはどこでしょう?
DY: やっぱりあのドアウェイトンネル(穴付きセクション)ですね。今回のチームにとっても、あの形の穴が開いたセクションを作るのは初めての挑戦でした。
YT: あの穴を塞ぐかどうか何回も話し合いましたよね。でも今思うと、間違いなくこのパークのシンボルになったので残して本当に良かったです。

VM: 職人のおふたりに聞きたいんですけど、現場での施工期間や苦労した点はありましたか?
KK: 現場に入ったのが5月後半で、そこから約4ヵ月間唐津に滞在しました。唐津はご飯も美味しいし、駅の近くにも店がたくさんあって過ごしやすい環境でした。山奥の現場みたいに車で下りないとコンビニがないということもなかったのでありがたかったです。
DY: ただ今年の九州は40度を超える特別暑い夏で、猛暑との戦いでした。工事前半は休憩時間にみんなで滑っていたんですけど、真夏になったらつねに半分熱中症のような状態で休憩中にはとても滑れなくなりました(笑)。
KK: あと施工期間中に現場で熊本地震も経験しました。夕方4時頃に作業が終わって片付けをしていたら、1分近くぐわんぐわんと大きな揺れがきて。戻ってニュースを見たら高速道路が割れていたりして本当に驚きました。
VM: 長崎の大村のパークもそうですが、九州のパークは自由度が高くクリエイティブな作りのところが多い印象があります。
DY: 敷地の形も関係しているかもしれないです。大村と唐津のパーク敷地境界線の不規則性が少し似ていて、それに伴ってどちらも自由度の高い作りになったのかなと思います。
VM: 現場を重ねるごとにMBMのレベルや強みも進化していると感じますか?
DY: 僕やコウジが入って5〜7年目になるんですけど、当時に比べて経験と高い技術を持った職人の人数が増えています。だから現場が増えてもハイクオリティに対応できるようになっています。
KK: あとはコンクリート以外にもできること。土工からコンクリート打ち、コーピングの溶接、仕上げの塗装まで、すべて自社で完結できるのがMBMの大きな強みじゃないかなと僕は思います。何よりそれらを全員「スケーター目線」で施工できることが一番大きいです。
VM: パーク完成までに、行政との対話やハードルなどもあったのでしょうか?
YT: 正直、スケーターと行政間での理解の差を埋めるのが大変な場面もありました。だからこのパークが完成したのは、ある意味、僕たちからすると本当に奇跡だとも思っています。MBMがローカルの意見を尊重し、スケーターの味方になって作ってくれたことに尽きますね。
VM: 唐津のスケートコミュニティにとって、このパークはどんな意味を持ちますか?
YT: 大会のためだけの特設パークではなく、日常的にスケートボードに携われる「ライフワーク」の場になってほしいです。歩行者が多いような場所では滑ることが厳しく制限されますが、ここができれば日々集まってスケートを楽しめる最高の場所になりますね。
VM: 5年後、このパークがどのような場所になっていたら「成功」と言えると思いますか?
DY: もうすでに成功は見えてますね(笑)。ここで育ったスケーターが生活の一部としてスケートボードを愛し、人生の中に組み込んでいってくれたら、それが一番の成功です。僕たちが作りたかったのはそういう場所ですから。
KK: 僕は自分が施工に参加した大村のパークに行ったときに小学生から大人や年配の方までが、みんなで挨拶し合って仲良く譲り合いながら滑っている光景を見てすごく感動したんです。唐津でもそんな温かい光景が毎日繰り広げられたら最高ですね。
YT: 日常的に子供から大人までが集まって、みんなが笑顔で滑れる環境であり続けることが成功だと思います。大会とか派手なことがなくてもいいと思うんです。「日々ここに集まるスケーターがいる」という状態が成功かなって思いますね。
VM: 最後に、スケーター目線でこのパークで見てみたいライディングがあればを教えてください。
DY: ドアウェイトンネルの上にあるコーピングですね。あそこに爆速で入って、端から端まで全流しするグラインドが見たいです。
KK: 僕は島の真ん中にあるポツンとしたコブを使って、バチッとキレイなバックサイドフリップやトレフリップを回すスケーターがいたら「ヤバい!」って喰らっちゃいますね。
YT: ドアウェイトンネルの穴を飛び越えたり潜ったりするクリエイティブなラインを楽しんでほしいです。オープンしたらぜひ全国から滑りに来てほしいですね。
[PARK INFO]
唐津市松浦河畔公園ローラースポーツパーク ストリートセクション
住所:佐賀県唐津市原1774-1
オープン日:9月19日(落成式・テープカット:9月26日)
利用料金:無料
ヘルメット着用:推奨








Daiki Yoshizawa
MBM Parkbuilders @zawachin612
全国各地のスケートパーク建設に携わり、現場を取り仕切りながらコンクリートによるセクションの施工を手掛ける。今回の唐津では現場職長としてパーク建設を担当。
Koji Kawamoto
MBM Parkbuilders @kojikawamoto_
MBM Parkbuildersの職人として唐津のスケートパーク建設に参加。現場で実際にセクションを形にする施工を担当。
Yusuke Tanaka
唐津市スケートボード連盟 @karatsu_skateboard_federation
ワールドスケートジャパン佐賀県連盟 @srsf.jp
POSSIを運営しながら佐賀県や唐津市のスケートボード連盟として今回のパーク整備に関わり、地元スケーターの立場からパークづくりに参加。

















