'60年代にRandyが世界で初めてのスケシューを開発して以来、さまざまなブランドがスケシューを開発し、'80年代以降はスケシュー専用のブランドも誕生しました。
なかでも、Airwalkやetniesなどは紆余曲折40年もの歴史があり、たくさんのスケーターに愛用されてきました。一方で'90年代以降はスケシューブランドが乱立しては、いつの間にか消えていったものが数多くあります。そんなブランドは復活の機会もなく、このままでは二度と日の目を見ないかもしれません。
折角なので、今回はほとんどの人が履いたことのない、今では存在すら忘れ去られてしまったシューズブランドの数々を紹介していきたいと思います。
ZERO-TWO (1991-1993)
'90年代初頭にヴィーガンの思想がスケーター内で流行り、当時ヴィーガンだったマイク・ヴァレリー、エド・テンプルトン、ブライアン・ロッティ、ショーン・シェフィーなどの豪華ライダーが所属していました。シューズはすべて合成繊維などで作られたヴィーガンシューズで、アッパー全体がマジックテープになっており、好きな場所にオーリーガードの素材を貼って耐久性をアップできる画期的なシューズでした。しかし、ブランドオーナーがヴィーガンではなかったなど経営陣との思想の違いから、すぐに解散しました。


DUKES (1995-1998)
DuFFSやAxionと同じくWorld Industries傘下のスケシューブランド。1995年に誕生しジェレミー・レイやパット・チャニータがライダーでした。ジョシュ・ケイリスもAlien Workshopの広告で履いていましたが、正式なスポンサーではなくギフトで貰っていただけのようです。また、ジェレミー・レイのシューズがSkechersにモロパクリされる珍事件も発生しました。しかし、DCやetniesの人気には敵わず1998年に消滅してしまいました。

UNDER DOG (1996-1997)
バイオハザードマークでお馴染みのスケート・スノーアパレルブランドのHAZ-MATが設立したスケシューブランドです。'97年のシーズンまではメディア露出があったものの以降の消息は不明です。

2 FISH (1997-1998)
元Asicsの技術者が設立したスケシューブランドです。まだまだ高品質とは言いがたかったスケシュー業界に革命を起こすべく、最新のランニングの技術を盛り込んだ製品を開発していました。しかし、初期に何度かメディア露出して以降の消息は不明です。

PTS (1997-2001)
Plenty Tough Sportsが設立したスケシューブランドです。PTSにちなんでPrecision Technology Systemsのキャッチコピーと共に売り出されました。チームには当時アップカマーだったクーパー・ウィルトやビリー・マークスなどが所属していました。初期から日本のファッション誌などでも度々露出があり、2000年からは日本法人もできましたが、2001年以降の動向は確認できていません。


RECS (1997-2000)
アダム・マクナット、バット・ダフィー、マイク・クラム、リチャード・アンヘリデスなどの人気ライダーを抱え設立されたスケシューブランドです。豪華なライダー陣に加え、紙や映像のメディアにも積極的に広告を出しましたが、あまり人気が出ることはなく短命に終わってしまいました。

VITA (1998-2001)
マーク・オブロー指揮の下、ナタス・カウパスにジェイソン・ディルやリース・フォーブス、ティム・オコナーにダニー・ガルシアなど豪華なライダー陣で、すぐさま人気ブランドになりました。特にナタス・カウパスのシグネチャーシューズが大ヒットし、後にジェイソン・ディルやリース・フォーブスなどのシグネチャーシューズもリリースされました。しかし、それなりのヒットとは裏腹に、こだわりの製品やライダーの維持には資金が足りず短命となりました。

SENS (2000-2004)
2000年誕生のハイテクスケシューブランドです。最初のラインナップは当時人気だったOsirisのD3やéSのKostonをそのまんまサンプリングしたようなシューズだったようです。ライダーにはアダム・マクナットなどがおり、BMXチームも存在していました。しかし、時代の波に乗ることができず2004年以降消滅してしまいました。


PYRO (2000-2003)
ドイツで設立されたスケシューブランドです。アメリカでも正式にチームを抱えていて、パット・ダフィーやパンチョ・モラーなどが在籍していました。しかし、親会社の破産によりブランドは短命となってしまいました。

AXIS (2003)
PYROの兄弟ブランドとして誕生しました。しかし、大元のPYROがなくなると同時にこちらも消滅したものと思われます。


4CE (2001-2003)
ハイテクスケシューブームの真っ只中に誕生したスケシューブランドです。ライダーにはマイク・ヨークやクライド・シングルトンがいました。ちょうどGirl『Yeah Right!』の撮影タイミングであり、マイク・ヨークのパートで履いている姿を確認できます。短命だったもののいまだにコアなファンもいるブランドです。


NADIA (2001-2002)
ロニー・クレーガーがメインのブランドで、チームにはヘンリー・サンチェスにコーリー・シェパード、アリ・ボウララなどが在籍していました。ブランド名は体操選手のナディア・コマネチが由来のようです。しかし、経営陣とロニー・クレーガーが揉めてしまい約1年で消滅してしまいました。ヘンリー・サンチェスのシグネチャーモデルが一番のヒット作でしたが、印税を受け取る前に倒産してしまったようです。

EPIK (2001-2003)
ウェイクボードメーカーが設立したスケシューブランドになります。当時『ジャッカス』に出演していたウィーマンなどが着用していましたが、あまり目立つことなく短命に終わってしまいました。


GENETIC (2001-2004)
当時スケシュー業界で人気が低迷していたAirwalkが新たに立ち上げたブランドです。チームにはバッキー・ラセックやパット・チャニータ、ケイン・ゲイルなどが在籍し、Airwalkのノウハウや技術力を活かして高品質なハイテクシューズを開発していました。しかし、流行がハイテクからシンプルな路線に一気に変わったことや、éSやLakai、VansやIpathの人気にまったく追い付けず、いつの間にか消滅してしまいました。

AERA (2001-2005)
グレッグ・ウィットによるニュージーランド発のスケシューブランドです。スケートの他にBMXチームも存在していました。機能性重視のハイテクなスケシューを開発していましたが、例に漏れず時代の波に取り残され短命でした。


FUZE (2002)
設立後すぐフォレスト・カービーをチームに迎え入れシグネチャーモデルもリリースしましたが、以降話題になることなくいつの間にか消滅していました。

LINK (2002-2003)
adidasが出資し、Clichéが指揮を執って設立されたブランドです。チームもClichéの色が反映されており、JB・ジレットやルーカス・プイグ、米坂淳之介も所属していました。またアメリカのマーカス・マクブライドにイギリスのアレックス・モール、オーストラリアのケール・ヌスケなどグローバルな隙のないチームでしたが、非常に短命でいつの間にか消滅していました。

AEON (2002-2006)
ウィールブランドのLordzやビデオマガジンのPuzzleでの成功をきっかけに、フランスで新たに設立されたスケシューブランドです。チームにはJB・ジレットやアレックス・キャロリーノなどヨーロッパやブラジルの人気ライダーが中心でした。しかし、ヨーロッパを起点にスケシューを世界中で販売するには関税などの問題で苦戦を強いられ、Lordzもろとも消滅してしまう結果になりました。

88 FOOTWEAR (2002-2005)
2002年に設立されたクリス・マーコビッチのスケシューブランドで、'88年のスケートシーンへ敬意を表して名付けられました。他のハイテク路線のブランドとは違い、時代にあったシンプル目なデザインのスケシューブランド。ピーター・ヒューイットやジャスティン・スツルビング、アラン・ピーターセンのほか、ニール・ブレンダーをライダー兼アーティストとして迎え入れ、一貫したスタイルのブランドとして確立させました。他のブランドとは違い可能性を感じさせましたが、残念ながら長くは続かず2005年以降見かけることはなくなってしまいました。

以上、主に4年以内で消滅してしまったスケシューブランドをまとめてみました。調べきれていないだけで、ここに紹介できていないブランドもあるかと思います。
その他、一時的にスケシューを開発していたブランドや、長年の休眠後に復活したブランドなどもありますが、この場では割愛しました。また、国産のブランドについては、いつかまた別の記事で紹介したいと思います。
今回のまとめを見ると、'00年代前半のハイテクスケシューブランドの乱立は、現在では考えられないほど目まぐるしく感じます。しかし、ネットでの通販もあまり普及していない時代に、行きつけのショップに置かれていることもなく、買うどころか現物を見ることすらなかったものが多いです。景気が悪い時に始めるのは無謀だけど、バブリーな時期に始めても埋もれてしまうため、ブランド運営の難しさを痛感します。
今回紹介したadidasのLinkやAirwalkのGenetic以外にも、NikeのSavier、ReebokのIcecream、さらには日本で展開されたPro-KedsのTransmitなどが挙げられます。これらを見ると、スケート業界への参入で失敗した大手ブランドが、すでに成功しているスケートブランドや人脈を頼って新ラインを展開したものの、結果的に短命で終わる、というパターンがいかに多いかに気づかされます。結果、現在は大手ブランドのままスケシューを出して成功することが多く、歴史というのは非常に面白いです。
最後に、そんな近年では珍しく新たにできたスケシューブランド、Village PMの1.30PMモデルについて、筆者の詳細解説動画があります。下記に掲載しておくので、ご覧いただければ幸いです。
FRICKS KICKS @fricks_kicks
苦節8年、YouTubeにオリジナル動画100本超で総再生約40万回と超低空飛行中。
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