街を遊び場に変え、足元のスキルとスタイルを磨き続ける。そんな精神が交差したのが、adidas Skateboarding、Thrasher、そしてAFA(アルゼンチンサッカー協会)によるカプセルコレクション。
今回のプロジェクトは2026 FIFAワールドカップ開催を前に実現したもの。ただし単なるスポーツイベント便乗型のコラボでは終わらない背景があります。
その中心にいるのが'81年にSFでThrasherを創刊したファウスト・ヴィテロ。アルゼンチン出身であり、今回のコレクションにはThrasherのルーツを掘り起こす意味合いもあります。Skate and Destroyのスローガンとともに反骨精神やDIYカルチャーを発信し、故ジェイク・フェルプスがバイブルと呼んだこのメディアは、雑誌の枠を超えてスケートそのものの価値観を形成してきた存在。一方でAFAが象徴するアルゼンチンサッカーもまた世界屈指の熱量を持つカルチャー。3度のワールドカップ制覇を誇り、2022年には再び世界の頂点へ。
テクニカルなフットワークを追求するサッカーと足元でスキルを築くスケートは感覚的にもどこか近いところがあります。現にadidas Skateboardingに所属する三本木 心と岸 海も本格的にサッカーに取り組んだ時期がありました。街でラインを組む感覚と狭いスペースをドリブルで突破する感覚。制限のなかで創造力を発揮するという点で、スケートとサッカーは似たようなDNAを共有しているのかもしれません。
コレクション自体もその融合を丁寧に形にしています。'94年のアメリカ大会のユニフォームを着想源にしたダイヤ柄のジャージを筆頭に、アルゼンチン代表を象徴するカラーリングとAFAのデザインをThrasherならではの形で落とし込んでおります。さらに注目したいのが、adidas SkateboardingのGlenburnモデル。サッカーシューズ由来のクラシックなデザインを取り入れつつ、スケート仕様へアップデート。またゴンズによるアートワークも今回のコレクションに華を添えています。独特の感性を通してサッカーとスケートを繋いでいる点も本プロジェクトの奥行きを感じさせる部分。
ということで、今回のコレクションはスケートブランドがサッカーを引用しただけの話では終わりません。アルゼンチンにルーツを持つThrasher、アメリカのスケート、そして世界最大級のスポーツイベントがひとつのストーリーとして繋がり、カルチャーが国境を超えて混ざり合いながら進化していくことを示す象徴的なプロジェクトと言えるでしょう。
そして最後に、この場を借りて、49歳という若さで他界したマーク・ジョンソンへの追悼の意を捧げたいと思います。彼がスケートコミュニティに残した功績はあまりにも大きすぎます。合唱。
—MK
adidas Skateboarding × Thrasher × AFA: www.vhsmag.com/adidas-skateboarding-thrasher-x-afa
















