スケートシューズは、大きくふたつのタイプに分類することができます。それが「カップソール」と「ヴァルカナイズドソール」です。年代によってボリューム感やデザイン、使用される素材などはさまざまですが、スケートシューズを語る上で、ソールの構造によるこのふたつの分類は最も大きな違いのひとつと言えるでしょう。
カップソールとは、比較的近代的なスニーカーに多く見られる形状で、あらかじめ成形されたカップ状のソールに、アッパーを接着する製法です。

一方、ヴァルカナイズドソールはVansやConverseに代表されるクラシックな形状で、加熱・加圧によってアッパーとゴムを圧着し、さらにフォクシングテープと呼ばれるゴムで側面を包んだ構造になっています。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、まずは簡単に紹介してみたいと思います。
カップソールのメリット
・クッション性が高い
・耐久性が高い
・足の保護力が高い
カップソールのデメリット
・ソールが厚めでボードフィールが弱い
・ソールの柔軟性が低め
・価格が高い
ヴァルカナイズドソールのメリット
・ソールが薄めでボードフィールが良い
・ソールの柔軟性が高い
・価格が安い
ヴァルカナイズドソールのデメリット
・クッション性が低い
・耐久性が低い
・足の保護力が低い
もちろん、実際にはモデルによって大きく異なりますが、平均的にはこのような傾向があります。つまり、カップソールとヴァルカナイズドソールは、それぞれの長所と短所がトレードオフの関係にあると言えるでしょう。
ただし、スケートシューズの履き心地や滑りやすさを決める要素は、ソールの構造だけではありません。使用されている素材やシューズ全体のボリューム感、重量、クッションの種類などによっても、そのフィーリングはまったく異なります。また、機能性だけではなく、ファッションとしてのデザインやブランドイメージに強いこだわりを持つ人もいるでしょう。
さらに細かいところでは、ヴァルカナイズドソール特有の足馴染みも好みが分かれるポイントです。新品の状態ではソールの角が立っているため、その感覚が苦手という人も少なくありません。逆に、履き込むことでソールが柔らかくなり、自分の足や滑り方に馴染んでいく過程を好む人もいます。

一見するとデメリットに思える重量も、実は単純に軽ければいいというわけではありません。重たいハンマーの方が釘を打つ際に少ない力で済むのと同じように、スケートシューズもある程度重量があることで、デッキのコントロールが軽く感じる場合があります。

このあたりは、単純なスペックだけでは判断できない、スケートシューズの面白いところだと思います。
また、近年はスケートシューズに求められるもの自体も変化してきました。その象徴的な例のひとつが、アンドリュー・レイノルズのシューズです。アンドリュー・レイノルズはヴァルカナイズドソールの代表でもあるVansのシューズを履いていましたが、年齢を重ねるにつれて身体への負担やケアを考えるようになり、New Balance Numericへ移籍しました。以前であれば、New Balanceの中でも比較的ボードフィールが良く、スケートのしやすさを重視した480のようなモデルを選択していたのに対し、現在ではクッション性なども考慮し、より厚底でボードフィールとは対照的な933のようなシューズをシグネチャーモデルとして開発しました。

もちろん、これはあくまで一例ですが、この変化からも近年のスケートシューズが単純にスケートのしやすさやデザインだけを追求するものではなくなってきていることがわかります。スケートボード自体の歴史が長くなり、シューズの開発も成熟してきたことで、足への負担やクッション性、耐久性など、長くスケートを続けるための要素もより重要になってきたのではないでしょうか。
筆者自身、それぞれたくさんのシューズを履いてきましたが、スケートのしやすさという点でもデザインという点でも、カップソールの方が好みです。しかし、これはあくまで個人の好みです。ヴァルカナイズドソールの方が調子がいいというスケーターも当然たくさんいますし、同じシューズでも人によって感じ方はまったく違います。だからこそ、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、最終的には実際に履いて滑ってみて、自分に合うシューズを探していくしかありません。
もし今まで、なんとなく見た目の好みやブランドのイメージだけでシューズを選んでいて、まったく異なるタイプのシューズを試したことがないのであれば、一度いつもとは違うタイプを履いてみるのも面白いと思います。今まで気付かなかった、自分にとっての”調子のいいシューズ”が見つかるかもしれません。
最後に、筆者が60足のスケシューを一気に履き比べし解説・ランク付けした動画があります。下記に掲載しておくので、ご覧いただければ幸いです。
FRICKS KICKS @fricks_kicks
苦節9年、YouTubeにオリジナル動画150本超で総再生約40万回と超低空飛行中。
コラム一覧:www.vhsmag.com/column/frickskicks/

















