巷でよく耳にする「知らないバンドのバンドT着るな論争」も、同じ類の話題です。それ以外にも、さまざまなシーンで「●●以外は着るな・買うな」という話題を頻繁に耳にします。
まず前提として、一部の例外を除き、この意見はほぼ供給側(メーカーやバンドなど)ではなく、需要側(ファンやマニア)から発せられています。供給側からは「知っている・知らないに関わらず、広くいろいろな人に買ってほしい」という声をよく聞きます(※一部例外として、故ジェイク・フェルプスはセレブなどスケーター以外がThrasherを着ることに嫌悪感を示していた)。
このように供給側が良しとしていることに、需要側が勝手に制限をかけているのはいかがなものでしょうか。そもそも違法でもないことに他人が口を出す筋合いはなく、その文句に正当性は感じられません。にもかかわらず、なぜこのような理不尽な意見が次々と出てくるのか、ファン側の目線で理由を考えてみようと思います。
そうすると、実はこの理由は異なる角度から複数あり、それが理解を遠ざける結果になっているように思います。考えられる理由をひとつずつ解説していきます。
勲章の陳腐化
一部の人たちの間で勲章のように扱われてきたものが、気軽にファッションとしてだけコピーされると、勲章としての価値が下がってしまうため嫌悪している。ジェイクがThrasherをスケーター以外に着てほしくなかった理由も、これに該当すると思われます。その昔、新入生が上級生の許可なく変形学生服を着るのはご法度だったという話も、このあたりが関わっていそうです。例えるなら、もし柔道が世界的な大ブームになり、新たに参入した人たちが「かっこいいから」と最初から黒帯を締め、古いルールなど知らないと一蹴したら、反感を買うことになるでしょう。
証の希薄化
仲間たちの証としていたものが、ただのファッションとして消費されてしまい、証として機能しなくなったことへの不満がある。バンドTなどの話題は、このあたりの理由が該当すると思われます。例えるなら、読売ジャイアンツのキャップを被っている人をファンだと思って話を振ったら、「よく分からないけど、デザインが気に入ったから被っている」と言われ、野球好きですらなかったら、かなり肩透かしを食らいます。こんなことが繰り返し起き、誰が本物のファンか一目で分からなくなってしまったら、文句のひとつも言いたくなるのかもしれません。
注いできた愛情の差
需要側の愛情にはグラデーションがあり、第一志望の人もいれば第十志望の人もいるのに、その志望度が抽選確率には反映されないことへの不満がある。特にレア物やコラボ物が発売されたときに「にわかは買うな」という話題が出てくるのは、このあたりの理由が該当すると思われます。例えるなら、あるアーティストが引退を発表して最後のライブを開催する際、毎回欠かさずライブに通っていた人と、引退を知って「最後なら行っておくか」ぐらいの人が同じ条件で抽選され、結果として通い続けていた人が最後のライブに行けなかったら、不満が爆発しそうです。
まだ他にもありそうですが、主に上記のような理由から、度々「●●以外は着るな・買うな」論争が巻き起こっているような気がします。よくジーンズやミリタリー物を引き合いに「炭鉱夫でも軍人でもないのに着ているではないか」と言われますが、現在の日本でジーンズやミリタリー物を着ていても、誰にも勘違いされることなく、ただのファッションだと理解されるため問題になりません。このように理由を考えてみると、一概に理不尽なことを言っているとも言い切れない気がします。
しかし、違法ではありませんし、他人にとやかく言われても実害はないので、誰でも気にせず着用するのが正解だと思います。その上で気が向いたら、実際にスケートをしてみたり曲を聴いてみたら、新しい世界が広がるかもしれません( ※SNSでのメンションや名指しによる誹謗中傷は、実害として名誉毀損にあたる恐れあり)。
最後に、筆者がTシャツをメインに紹介した動画があります。下記に掲載しておくので、ご覧いただければ幸いです。
FRICKS KICKS @fricks_kicks
苦節9年、YouTubeにオリジナル動画150本超で総再生約40万回と超低空飛行中。
コラム一覧:www.vhsmag.com/column/frickskicks/
















