
我々にとって「グーフィー」とは右足を前にしてデッキに乗るスタンスのこと。そしてもうひとつのスタンスが「レギュラー(普通)」。かつては少数派というイメージがあっただけに、グーフィーにはどこか特別な響きや憧れがありました。
そんなスタンスと「グーフィー」という言葉を結びつけた起源には、ディズニーのアニメが関係しているという逸話があります。きっかけは1937年の短編アニメ『ハワイアン・ホリデー』。ミッキー、ミニー、ドナルド、プルートとともに、犬のキャラクターであるグーフィーがハワイで休暇を楽しむという内容で、注目されたのがグーフィーのサーフシーン。彼が右足を前にしてボードに乗っていたため、このスタンスが「グーフィー」と呼ばれるようになったというのです。
おもしろい話ですが、やや眉唾でもあります。というのも、アニメではキャラクターの顔が観客に見えるよう構成されており、右に進むシーンではレギュラー、左に進むシーンではグーフィーで描かれがち。現に同作品のポスターではミッキーやドナルドも右足を前にしてサーフィンしており、必ずしも犬のグーフィー特有のスタンスとは言いきれません。
そう考えると、やはり「グーフィー」という言葉が元々持つ「滑稽」や「不器用」といった意味合いから来ているのかもしれません。かつては主流ではなかった右足前のスタンスに、そんなニュアンスが重ねられたのでしょう。
それでもディズニー起源の説にはどこか夢があって個人的には好きです。そして何より、犬のグーフィーが1937年に両方のスタンスを使いこなしていたとしたら…。誰よりも早くスイッチスタンスを取り入れていたのかもしれません。
—MK