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全国各地のパークでも起こりうる悲劇
──第8回:Rest In Peace 白畑

2014.12.10

 白畑公園がRIPしました。40年弱の歴史を持ち、数々の名セッションが繰り広げられた日本が世界に誇れるヴィンテージパークの歴史に幕が下ろされました。日本全国や外国からも多くの人間を惹きつけたスケートパークが市、与党の議員、区会の長老たちによって破壊されました。今日は白畑公園撤去までの経過についてお話したいと思います。
 とても長くなりますが、是非お付き合いください。これは誰にでも起こりうる可能性がある話です。対岸の火事ではすまされない重要なお話ですので是非ご一読お願いします。

 白畑公園がある二宮2丁目の区会から支持を受ける公明党市議、山本みわ氏から市議会に公園のパーク部分の撤去案が出されたのが数年前。利用者(スケーター、子供、家族連れ)はこの件について誰も知らされていませんでした。その後、突然予算が下りて工事に取り掛かるための測量士が来ました。話を聞いて初めて計画を知りました。寝耳に水の我々利用者はすぐに市役所へ。つくば市の都市施設課に話を聞きに行くと、いくつかの苦情が原因となって撤去計画に至ったのこと。その苦情の内容を聞いてびっくり。つくばの市原健一市長に宛てられた苦情のいくつかを書きます。

1. スケーターを怖がり子供たちが公園で遊べない(いつも一緒に遊んでました)。

2. ゴミを散らかし放題(毎回人のゴミまで拾ってました…)。

3. 夜中に騒いでいる(スケーターじゃありません)。

4. 人糞を放置(クソは便所でしますよ、山や森じゃないんだから)。

5. 勝手にセクションを設置(誰かからの好意だと捉え、いいと思っておりました)。

6. 路駐(駐禁エリアじゃないからいいかと思ってましたが、撤去計画を聞いてからすぐに改善。しかし路駐はなくならず、停めてるのはスケーターだけではなかったことがすぐに発覚)。

 白畑公園に来たことがある人は上記の苦情が信じられないでしょう。子供たちはスケーターと混ざって遊び、スケーターのことを怖がっている様子など微塵もありません。むしろスケーターが子供たちと一緒に遊んでいることもしばしば。ゴミの問題についても同じです。市の職員と区会はスケーターが捨てていると主張。しかし実際はあの公園でゴミ拾いをしていたのはスケーターです。それを見て感化された子供の中にはポイ捨てをやめ、自らゴミを拾うようになった子すらいます。夜間の使用についても偏見としか考えられない決めつけですべてスケーターのせい。しかし実際は、あの暗さでは夜間に滑ることなどできません。それでもたまには何処か遠くの街から来て、滑りたい気持ちが優ってしまい真っ暗な中滑った人たちもいるでしょう。しかしそのようなことは過去において非常に稀であり、ここ数年そんな噂はまったく聞かなくなっていました。路駐の問題は、撤去計画を聞いてからすぐに取り組みました。友人宅に停めたり少し離れた場所にある有料駐車場などを利用し、近所の迷惑にならないように努めました。市役所に7回ほど足を運び、全国や外国からも集まった約3000人近くの署名、近所で暮らす親子、子供たちが自らの意思で集めてくれた同級生たちの意見などを持っていきました。計画の一時中断と地元区会との話し合いの場を求めましたが、市の対応は変わらず。変わらないどころか一緒に行ってくれたお母さんたちに向って「スケーターがクソを公園にしている」などという偏見に満ちたデタラメまで言う始末。「パークがなくなったら私たち含め子供たちはどうなるのか」。そう質問して返ってきた言葉に失禁しそうになりました。以下、担当課課長のセリフです。「オレは自分の好きなゴルフをやるために栃木まで行っているんだよ。あんたらも好きなことしたかったらそのくらいのことをしなさいよ!」とのこと。つくば市から栃木までは車で2〜3時間。あなたたちが市民からもらった金で休日に何してようが勝手ですけど、頭下げてる市民に言うセリフですか? あなたはどうしてそんなに踏ん反りかえって偉そうにしているの? 私たちは車あるけど子供はどうするの? 7回の市への訪問と議会でも取り上げてもらいましたが結果は変わらず。先週金曜日にフェンスが設けられ、そして今週の月曜日に重機が入り、パークは破壊されていました。


 市や区会に対して取り壊しの前に話し合いの場を設けてほしいと何度も頭を下げお願いしてきましたが、公明党の山本みわ議員、その他公園取り壊しに大賛成していたつくば市民政策研究会のお爺さん議員の方々おめでとう。あなたたちの努力によって、自由の象徴、白畑公園は何の面白味もない芝生の公園に生まれ変わります。一度も公園を見に来たこともないのに、よくも議会であんなにヤジを飛ばしてくれたものですね。それを偏見って呼ぶんじゃないでしょうか。反対する市民の声を一切聞かずに工事を強行。市役所に一緒に行ってくれたお母さん方や子供たちに何て説明するんですか。なんだか今回の一件で、この国の縮図を見ているような気に何度もなりました。原発再稼働や消費税、秘密保護法案、憲法9条改憲に反対する国民や有識者があれだけいるのに無視して強行しようとする政府。利用者や市民の声を無視して工事を強行する市や議員たち。次の選挙を楽しみにしていますよ。そう、今度の日曜日ですね。このままでは国民の声は政治に活かされません。文句をSNSで言ってるだけじゃ世の中変わりません。選挙に行きましょう。そして誰が国民のために一番働こうとしているのかよく見極めて投票しましょう。
 誰が行った政策でこんな世の中になっているのか、それもよく考えてね。

 話が逸れましたので元に戻します。

 最後になりますが、白畑公園存続のための署名に協力してくださった全国のスケーター、ショップの方々、そしてスケートボードを応援してくださったスケーター以外のみなさん。市との交渉の場を設けることに尽力してくださった共産党議員の方々、市民ネットワークの議員のみなさん、近所のお母さん方、子供たち、また平日しか訪問出来ない市役所に行くために仕事を肩代わりしてくれた同僚、社長。本当に多くの方々から応援していただきありがとうございました。そして公園を守ることができなかったことを深くお詫び申し上げます。

 今回の一件を教訓とし、今後同じ悲劇が繰り返されないように私たちも学ばなければならないことが沢山ありました。いつかそのお話もさせていただきたいと思います。悲しんでばかりもいられないから、次の計画に素早く移りたいと思います。

 そして同じ過ちが他の町でも起きないようにみなさんに知っていただきたいことがあります。いくつか箇条書きにしてみましたので参考にしていただければ幸いです。

1. パーク近隣住民とは仲良くしておく。挨拶は基本的に誰にでもする。

2. ゴミは人のゴミでも拾って帰る。

3. パークでも公園でも、他の利用者とコミュニケーションを図る。

4. 自分たちがパークや公園が存在する地域にどのくらい貢献できるのかを示す。

 オレゴンやワシントン州をはじめとするアメリカ北西部(Northwestですね)やポンタスさんのいるスウェーデンのマルメやアート・サーリを輩出したフィンランドは行政がスケートボードに対して非常に寛大で、むしろ「スケートボードがいろんな場所でできたほうが街にとって有益である」と捉えパーク建設を進めています。最近はLAやNYもかなりスケートボードに寛容になってきていますね。スウェーデンではストリートでも面白いことが起こり始めているらしいです。壊れないベンチ(きっと鉄のアングルが付いているやつだと思います)を作ってスケーターに提供する、なんてことまで起こっています。先進的な世界の都市ではこういうことが起こっていますが、残念ながらここ日本、特につくば市(研究学園都市とか言ってるのにね)は非常に後進的で、まだ世界の最先端都市に肩を並べる段階ではなかったのでしょう。この街に住む私たちがこれからこの現状を打破するべく活動していかなければいけないな、そう感じました。 

 世界はめまぐるしく変わっています。常識や法律もどんどん変わっていきます。が、既得権益を持った方々は変わろうとしませんし、変われない。しかし世の中は変わっていくのです。自分たちが変われないなら、せめて人が変わっていく(いい意味でね、悪くなっちゃダメ)のを放っておいてくれればいいのにね。変えちゃダメなところを変えようとしてないで、変えなきゃいけないことを変えていこうよ。ねえ、お代官さま。


白畑公園を目指して多くのスケーターが海外から訪れた。
こちらはVOXチームによる、白畑公園セッション。

 

日本のスケート史を語る上で欠かすことの出来ない白畑公園にて、猛者たちによる白畑モンタージュ。
Night Prowlerリミックス。

 

Kenji Tanaka
@underdogdistribution

ウェブサイトも会社のハンコも名刺もない日本で一番怪しい代理店、Underdog Distributionを営む怪しいおじさん。

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