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 「普段警察に注意される度ランキング」なるものがあったら、スケーターは…
──第16回:透明に近いグレー

2015.03.12

 「普段警察に注意される度ランキング」なるものがあったら、スケーターはかなりの確率で上位にランクインすることは間違いありません。僕の場合は通勤にもスケートボードを使うし、仕事の昼休みに飯を食いに行くのも、近くのコンビニにコーヒーを買いに行くときもほとんどスケートボードに乗っています。そしてパトカーとすれ違うたびにパトカーのマイクを通して「スケートボード、危ないよ、降りなさい」と言われるワケです。多いときは1日に3回も4回も注意されるのですが、「危ないよ」と言われても、こちらとしてはなにかのトリックをやっているわけではないので危ないことはひとつもありません。移動手段のスケートボードは例え毎日やっていたとしても、それは滑っているとはみなされないレベルなのです。それは周りがまったく見えていないサンデードライバーの車の運転や、スピードが遅すぎて逆にバランスがとれていないおばちゃんの自転車より遥かに安全なものだぞ! ということは警察には伝わっておらず、「とりあえず危なそうだから注意する」という状態のようですが、向こうはなにが危ないのかよくわかっていないのです。スケートボードは一般からしたら「よく分からないもの」というのが一番の答えなのかもしれません。

 確かにそうかもしれません。スケートボードってよく分からないものです。僕は「スケートボードやスケーターって何なんだろ?」とたまに考えますが、よくわからないから考えさせられるのだと思います。「スケートボードはスポーツなのかそうではないのか」という話はスケーターなら誰しも熱く語ったことがある議題だと思います。その際にオリンピック、TV、お金、矛盾なんてワードも出てきたのではないでしょうか。野球とかサッカーはよくわからなくはありません。非常にはっきりしています。相手よりも点を多く取り、勝つことが目的です。陸上競技なんかも誰よりも速く走る、遠くに飛ばす、高く飛ぶ、肉体の限界にチャレンジしてその頂点に立つことが目的なのです。白黒はっきりしています。スケートボードはといえば、技をメイクすると凄いということは明確なんですが、誰かと戦っているわけではなかったり、必ずしもその技をやらなければいけないわけではなかったりと、よくわからないのです。さらに言ってしまえば、何をもって他と優劣をつけるかというラインもよくわかりません。ルールや基準がないのでグレーな部分が多いのです。しかしこれは良く言えば「自由」ともいえます。そして自由というのは楽しさの反面、非常に難しいことでもあると思います。

 僕は小学校3年生の頃、ひょんなことからハワイの学校に転校したのですが、日本だと転校生は先生に紹介されて「はい、あそこに座りなさい」と言われるがままに初日の第一歩を踏み出すのですが、ハワイの学校では自由でした。紹介されることもないし、席も早い者勝ちでどこに座ってもいいのです。僕は思いました。「やっべぇ、自由って難しい……」。スケートボードも同じく、誰かに強制されてやるようなことではないし、団体のスポーツとは違い自分がなにもせず、見ているだけでもその場は成立しちゃいます。「できない技がやりたい」とか「楽しい」といった気持ちのみが自分を動かすのです。

 スケートボードにルールはありません。簡単な技でもかっこよかったりダサかったり、難しい技でもしかり。最近公開されたシェーン・オニールのフルパートで、Kグラインドからノーリーフリップアウトして板が1回転回ったところで今度は前足でもう1回転を蹴り入れて最終的に板を2回転させて乗る、という技を見ましたが普通に考えるとどうやってもばたついちゃって「すっごいけどダサくね?」という結果になりそうな技です(すごすぎて今まで見たことも考えたこともないような技ですが)。シェーン・オニールのようにこれをサラッとギコくなくやるってのは相当なスキルとスタイルが必要です。

 同じ技でも見せ方や自分次第で良くも悪くもなるし、やり方次第では街の人に良く見られたり悪く見られたりもします。スケートボードは結局それを扱うこっち側が何をしたいか、どういう風に見せたいか、という自己表現のためのツールなのだと思います。技自体やスケートボードそのものは無色透明に近いものなのではないでしょうか。

 そうそう「もしスケートボードがオリンピック競技になったら?」という話をよく聞きます。もしオリンピック競技になったらStreet Leagueのようなコンテスト形式かバーチカルランプのような花形の種目が選ばれるのではないかと思うのですが、個人的にはハイオーリーが種目になってほしいです。幅跳びとかもいいですね。オリンピックレベルでハイオーリーを競うと限界がどんどん上がって1mくらい飛ぶのは標準装備という時代が訪れるかもしれません。そうしたらストリートにはできるスポットが増えて、今よりさらに面白いことになりそうです。

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