かつてConsolidatedに所属し、SFを拠点に活動した元プロスケーターのスコット・ボーン。2004年にアメリカを後にし、現在は作家としてパリで執筆活動を続けている。今までにCarharttの協力のもと、『Cheating on the Metronome』、『Eclipse: Dark Lines From The City Of Light』、『A Toast to the End of Time』と3冊の詩集を出版している。
昨年、ボーンはSLIDER Vol. 11のヨーロッパ特集に登場した際に、長編小説を執筆中だと語っていた。タイトルは『A Room With No Windows』。どうやらその長編小説が完成したらしい。“窓のない部屋”という意味を持つこの小説は、SFでプロスケーターとして過ごした10年間をもとに綴られていく私的小説。スケートが題材ではないが、ボーンの実体験だけにスケーターが読めばニンマリできる内容とのことだ。しかし“窓のない部屋”というタイトルには閉塞感を感じる。もしかすると、ボーンがパリへ移住した真の理由が綴られているのかもしれない。
腰の負傷のため、表現のフィールドをスケートから執筆活動に移したボーンにとって、長編小説の完成はフルパートの完成と同じ意味を持つと言い切っていいと思う。どうにか入手し、読んだ感想を追ってご紹介したいと思う。スケーターがスケート以外のフィールドでも何かを成し遂げるという瞬間。その瞬間がどうも刺激的でなりません。
--MK