NYのスケーターの日常をテーマに描いた映画『Kids』の公開20周年を記念して、監督のラリー・クラークのインタビューが公開されました。もはや説明する必要などないとは思いますが、この映画はキャストに実際のスケーターを起用した、ほぼドキュメンタリーのようなリアルな作品です。そんな『Kids』の公開から20年、ラリー・クラークが知られざる舞台裏について話しています。日本語字幕がついていないので、興味深い逸話をご紹介したいと思います。
本作は、監督がNYのスケーターと3年ほどハングアウトして制作に至ったわけですが、本インタビューで「観客が知る由もない世界をこっそりと疑似体験できるような作品にしたかった」と話しています。そのため、あたかもその場に居合わせているような臨場感あふれるカメラワークになっているとのことです。
また、劇中の台詞はすべて脚本通りで、脚本なしのアドリブが1シーンだけあったようです。それは、ホームパーティでラヴァー・マクブライド、ハヴィエル・ヌネズ、ゲリー・スミス、ニック・ロックマンがソファでウィードを吸っているシーン。監督がテーマだけを与え、自由にしゃべらせたとのことです。その結果、作品の中でもっとも素晴しいシーンとなったと監督は話していますが、少々問題のシーンとなったようです。「10〜15分ほどしゃべらせてカットした。マリワナを吸っている振りをさせたんだけど、もしかしたら本物のウィードだったかもしれないね。真相はわからない。ひとつ覚えているのは、あのシーンを撮った後に撮影クルーの何人かが辞めたいと言い出したこと。12、3歳の子供がウィードを吸っているシーンなんて撮るべきじゃないと抗議してきたんだ。でも、あれはオレのウィードじゃない!」
『Kids』は、NYというロケーションと'90年代半ばのスケートシーン、そしてまだ規制が今よりも緩かった時代だからこそ実現できた映画です。そして、当時のスケーターのリアルなライフスタイルを映し出したこの秀作が、Supremeのカプセルコレクションとして近日よみがえります。本作に収録された名シーンをグラフィックに落とし込んだコレクションをお見逃しなく。
--MK