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チコが教えてくれたこと
──SFの守護神

2019.11.04

 チコの最新パートが素晴らしすぎる。SFローカルで元祖スムースオペレーター(Shut Up & Skate Vol. 8をチェック)、チコ・ブレネスのオンラインパート“7×7”が神ってます(ゴッド)。どうやら地元サンフランシスコの7×7平方マイル内限定スポットでの撮影というのがコンセプト。EMB、Pier 7、Fort Miley、Library、Black Rockなど往年のメモリアルスポットを完全網羅。
 このタイミングでこのコンセプト、チコが言わんとすることを察するに、ズバリ“原点回帰”。酸いも甘いも知り尽くした大ベテランが、幼少期から過ごした自身のグラウンド・ゼロ、地元SFをまっさらな状態で楽しもう。そういうことだと思うんです。長いキャリアにおいて、スケートボードを片手に世界各地のスケート都市へと赴き、相当数のデモやサイン会をこなしてきたことでしょう。あちこち行ったからこそ色濃く見えてくる、自身のルーツ。チコにとってのSFへの想いは格別であるに違いない。幼い頃、貧しい国から逃れるように辿りつき、再起を誓った場所。アメリカンドリームという言葉が適切なのかはわからないが、ダウンヒルやインスタ映えのために訪れるそれとは異なるレイヤーのリアリティが伴う。
 チコのデビュー作であるWorld Industries『Love Child』、FTC『Finally...』に魅了された当時のスケーターもすでに40代。目まぐるしく変化を遂げた20年余りの間にいろいろあったことでしょう。あの頃のスケートを知っている人は、物理的にスケートから離れることはあるかもしれないけれど、精神的にスケートから離れることはできない、というのが僕の持論。
 “7×7”。日本では勝手に“チコヒール”(海外だとチコフリップ)とまで呼ばれているノーリーBs180ヒールを拝めます(しかもEMBで)。SFのOGスケーターで、日本ではミュージシャンとして有名なトミー・ゲレロのサウンドがパートに華を添えます。盟友で、これまたSFローカルのカール・ワトソンの友情出演も粋な計らい。時代が突きつけてくる流行り廃りに翻弄されることなく、スタイルを崩さなかった稀有な存在のひとり。EMBの3段で自身のゲストボードをセッティングしているチコに寄り添う娘さんの仕草に、人格者としても知られるチコの人柄が現れているような気がしました。これぞラブチャイルド。「アンチャッタカラァ〜」

─KE

 





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