Nike SB dojo | スケートパーク

紙面での邂逅
──出会いから幾歳月

2019.12.02

 今回のSbのHEADLINER(特集担当フォトグラファーの意)のふたりは、日本風に言うならかつて同じ釜のメシを食べたフォトグラファーたち。
 ヨーロッパを代表するスケートマガジンのひとつ、ロンドンのKingpin誌でスタッフフォトグラファーとして働いていたベンジャミンとドミニク。ベンジャミンはパリジャンで現在もパリを拠点に活動し、ドミニクはロンドナーでロンドンを拠点に活動している。そしてふたりともフィルムでのアナログプリントをこよなく愛している。年齢とキャリアで言うと、ベンジャミンが先輩になる。今回、ふたりがSb誌上で競演することは、締め切り時期のレイアウトや原稿確認をしてもらうまでふたりには知らせてなかった。だから、それを知ったときのふたりの反応はすごかった。どちらも、10年くらいの時を経て、誌面上で再会するかのような気持ちになったらしい。嬉しさと懐かしさと、そして、おたがいともに今なおスケート写真を撮り続け、フィルムやポジで撮影しているということへの喜び。そういうものが、溢れていた。
 そうなると表紙はどちらの、どの写真になるかで何パターンかつくることになった。紆余曲折あって、今回の表紙は後輩のドミニクが飾ることに。しめきりのギリのギリまでやりとりは続いたので、進行的にはいつも以上にスケッチーだったけれど、本になってしまえばいたってシンプル。不親切なまでに説明を削り節のカツオ出汁ごときSbのソリッドなイシューが出来上がった。2019年度からはSLIDERの方も携わっているので、余計にSbの不親切さが身にしみる。ちなみにSLIDERは、“今”のヤバいナウなトリッククオリティが伝わってくる写真と取材原稿による構成だから、自分的にはかつて編集長をしていたWHEEL誌を彷彿させる面白さがある。「早くこのスケート見て欲しい」という、発売前の心境がフラッシュバックする。そういう誌面だと、“トリックレコード”、“スポットレコード”というスケート都市伝説を生むキラーワードが語られるようになる。
 Sbは、そういう部分から離れた写真を扱うことが多い。事件性も時事やスケートのハイプな感じよりは、説明してくれないとよくわからんす、というシーラカンスのような生きた化石のような構成だ。それを意識してやっているのだからタチが悪いのだけれど、自分としては気に入っている。そして、Sbでは相変わらずの不親切を貫きながら、SLIDERで編集スタッフやフォトエディターたちにブラッシュアップされ、今のスケートジェネレーションに刺激を感じながら携わっているというバイな感じというか多面的な生活習慣も大いに気に入っている。
 ちなみに、今回のヘッドライナーで生まれも育ちも被写体もロンドン! というドミニクのページは、ロンドンのスカバンド、Specialsなどが所属する2 Tone Recordsな感じで、モノクロームで全編を仕上げている。そのためレイアウトも白ベースのモノクロ写真レイアウトではなく、あえて、黒ベースのレイアウトにしてみた。かたや、ベンジャミンは、彼が注目するパリジャンスケーターの中から7人をフィーチャーしている。一癖も二癖もあるスケーターという人種に、さらに強い個性を注入したような7人のシャンパンカラーなヴィヴィッドなページにしてみた。
 表紙はPalaceのライダーで、Louis Vuittonのモデルでも知られるルシアン・クラーク。彼は特集内でライディング写真も飾ってくれているが、ルシアンがSbに初めて登場したのは今から10年前。フォトイシューのとき。そのときのフォトグラファーが今回のヘッドライナーのひとり、ロンドンのドミニク。当時はまだPalaceなんていうブランドはなく、ストリートからビッグアップしたヴァージルがLouis Vuittonのデザイナーに抜擢されるなんてことは予想だにできなかった。まあ、考えてみれば、オリンピックの正式種目にスケートボードがなるなんて、ましてやユウト・ホリゴメがワールドリリースでプロモデルを出すなんて、少し前の時代だったら想像できない夢想空間の話だったわけで。そんなことのすべてが今実現しているのだから恐れ入る。ユウト・ホリゴメはきっとそんな夢物語を叶えてくれる代表者のひとりに違いないと信じていたから、これは4年前に種田氏のヘッドライナーで“ストリートスポット”での彼にフォーカスしてヘッドライナーを特集している。ということで、ルシアン・クラークもユウト・ホリゴメも今や有名人だ(この有名人というのは、スケートシーンだったら元々だけど、そういうことじゃなくて、一般の人とかミーハーに命をかけてる系のヤツなら、なお知ってるという有名人ということ)。
 そんな有名人の、ストリートでの素朴だけど、かっこいいし美しい(見られることを意識していない自然なまでの余韻)写真を見たいなら、Sbのバックナンバーを掘り起こしてくれたらいいんじゃないかと思う。Sbのアーカイブは、記録と記憶になっている。ぜひ、ページをパラパラやっていただけたら、トピックスじゃなくてエピックな写真がグッと浮かび上がってきて、ニンマリできると思う。よろしくどうぞ。

--Senichiro Ozawa

 





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