Nike SB dojo | スケートパーク

あなたはどこまで行けますか?
──プッシュメン

2020.01.10

 9日間というちょっと長めのお正月休み。帰省に旅行にスケート三昧、それぞれの過ごし方で楽しんだ方も多いことでしょう。そんでもって休み明けとともにやってくる日常という現実を受け入れがたくボーっとしてしまうのも仕方がない…少しずつエンジンかけていくしかないのです。しかしラッキーにも今週末も3連休、全力でいきましょう!
 さてせっかくの9連休ということで僕は台湾へのスケートトリップを画策していたわけです。しかし結果から言うとノーメイク。11月半ばからネットを睨めっこしてはリーズナブルに行ける方法を探していたのですが、成田から乗り換え1回・片道10時間の飛行機で安くて8万、直行便なら10万オーバーの切符は僕の財布が許してくれませんでした。「普段はメチャクチャ安いくせに、こんな時だけべらぼうに高くしやがって」。そんな航空会社への怒りはグッとこらえ、「10万円なんて屁でもないぜっ!」ってくらいメイクマネーしようと心に誓うのでありました。そして例年通り、台湾行く行く詐欺ってところさ。
 代わりに選んだのはいつものごとく実家への帰省。今回帰省するにあたって、やってみたかったことをひとつ成し遂げることができました。それは沖縄県の南部は那覇近郊にある地元から、北部・名護市にあるオリオンビールの工場までの道のりをプッシュ。ここ5、6年ぐらい決まって毎年大晦日に60km近くあろう道のりをひたすらプッシュでツーリングする狂った先輩たちがいるのです。目的はプッシュしながらスケートボードに向き合い、一番新鮮なビールを飲むこと。今回はいいタイミングで帰省できたのでそれにご一緒させてもらった次第。前日から明け方まで続いた雨で路面はスリッピー、スタート直後の下り坂ではソフトウィールですら転倒が相次ぐも昼前には晴れ間も広がり、スポットチェックついでに軽いセッションも。順調に進むかと思いきや台風ばりの向かい風、ガタガタが続く路面はそう簡単に僕らを進めさせてくれません。コンビニで何度も休憩をはさみつつ、ゴールに到着したのはスタートから7時間後のこと。そこからさらに全員が連続でフリップを乗る…という最後のミッションはタイムアウトでメイクならずでしたが、身体をムチ打って到達した先でのビールはそりゃ染みわたります。最年少30歳、最年長41歳という若くはないこのスケート旅団、各々がまたひとつ自信を胸に2020年を迎えました。
 しかし無茶な距離をプッシュで移動したっていうスケーターはそれなりにいるもので、そんな体験談は面白い話として聞くことができるはずです。30年近く前に八王子から東京都心までスポットをヒットしながらプッシュで行き来していたというハッチャキくんの話は今なお語り継がれる伝説。また今から10年ほど前、北海道から沖縄まで各地のローカルとセッションしながらプッシュで日本縦断したプッシュマンこと前川貴志も相当な話題となりました(どちらもSHUT UP & SKATE Vol. 10でチラッと話題になっていたので聴き逃した方は今すぐチェック)。スケートボードを続けるにあたってトリックやスタイルの追求ももちろんですが「プッシュでどこまで行けるか」…そんなシンプルな楽しみ方も忘れたくないところ。都会では交通手段が発達しており、地方では大人になると車での移動が当たり前。それでもたまにはプッシュで行くのも気持ちをリフレッシュできるいい機会。思い立ったが吉日ですよ〜!
 さて、大晦日プッシュの首謀者である才 哲治がゴール後に言い放った言葉に一同おったまげ。「実はプッシュって嫌いなんだよ、スケボーに一番いらないトリックじゃない? ラインとかじゃ仕方なくやるけど」。彼もまた以前は自宅からスポットまでの相当な距離をプッシュで通いつめていたのは地元じゃ有名な話ですが、プッシュもし過ぎるとそんな「哲学」を持つに至るのであろうか…。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)




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