VHSMAG編集部に陣取って、SLIDERの打ち合わせをしていたのがつい最近のことだったように思う。しかし、よく考えてみたら、そのときは新型コロナウイルスの襲来を想像もしていなかった。コロナ以前コロナ以後、変わってしまったものはいろいろある。世間一般では、価値観だけでなくマナーや立ち位置もいろいろと浮き彫りになったんじゃないかと思う。スケートシーンはどうだろう。景気が悪い話もあればいい話もあるけれど、とりあえず自分の周囲で「スケートをやめた」っていう人はいない。スケートを始めたとか再開したっていう人はいるけれど。オリンピックとか吹っ飛んでしまったけれど、スケートボードでスラムしている人はいても、吹っ飛んでやめてしまったという人はあまりいないようだ。相変わらずスケートおそるべし。ピンチはチャンスとばかりに、本当にたくましい。流行り廃りについては刹那的で、一気にシーンの潮目が変わるほど冷酷でクールで、大らかでフレキシブルな一面がある一方で、どんなことがあっても消えてなくなることなくしぶといのがスケートでありスケーター。こちとらおっさんになっても、つねに学ばせてもらってる。影響受けまくり。
ということで、おっさんがまだ小にいちゃんの頃から発刊している流浪のスケボーマガジンSb Skateboard Journalの最新刊が11月30日に発売。今回のHEADLINER 第12弾は、本来ならオリンピック後、実際はオリンピック前夜な、コロナ禍も首相も大統領もさてどうなっていくのかなっていう時期の年末号。瓶ビール片手に街角の中華屋のカウンターの上の小さなテレビで見る紅白歌合戦のような(決して嫌いじゃない)、哀愁(どっちかっていうと好きだったりする)とか郷愁とか、そんな日本的年末フレーバーが漂う季節柄とは裏腹に、ストリート撮影に勤しみ続けてきたISEKIと49nというふたりのスケートフォトグラファーとスケーターによる、コロナ禍を吹っ飛ばせ! なストロングスタイルで、ページを構成。それによって、Sb久々登場のISEKIに、これがSb初のメインアクトとなる49nの、おたがい(いい意味で)バチバチと意識して共鳴しあってページ上で切磋琢磨をした1冊に。春の緊急事態宣言以降、いっとき人も少なくなったストリートで、まさしく攻めの一手で量産していったグラビアたち。そして、スポットレコードをアップグレードするスケーターたち。前号が世界各都市のロックダウン中のスケーターによるレポートなら、今号は確信犯的にコロナ禍で国内感染者最大数となってしまった東京をはじめ、他に千葉などでのストリートスポットでのシューティングの記憶と記録になる。そんな記憶を胸に、新しい年を迎えようではありませんか。
--SO(Sb Skateboard Journal)
定価¥1,100。11月30日より全国書店にて発売。