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この訃報は聞きたくなかった。少し前に露出がずいぶん減ったなぁと感じていた頃、ちょうどその時…
──DYLAN RIEDER

2016.10.14

 この訃報は聞きたくなかった。少し前に露出がずいぶん減ったなぁと感じていた頃、ちょうどその時に渡米していた友達から聞いたのが「彼が厄介な病気と戦っている」という話だった。病名は白血病。骨髄で作られる血中の血液細胞ががん化することで正常な血液細胞が減少し、免疫力の低下に伴いさまざまな合併症を引き起こす難病。彼が闘病しているという話を聞いたのはおそらく2年弱位前だったので、やはり20代半ばという若さでの発症では、この病の進行は相当早かったのだろう。
 個人的なことですが、僕もおなじ血液のがんで約4年半にわたり闘病した母の最期を先月末に見届けたばかりなので、彼の病床での状態がどれほどの困難と苦痛を伴うものであったのか、またそれを見守り、献身的なサポートを諦めずに続けた家族や親しい友人たちの喪失感がいかに大きいものであるかは本当に痛いほどよくわかります。
 彼はまだ病と戦うのに十分若かったし、誰よりも素晴らしい身体の持ち主であったので、骨髄の移植手術を受けたのかもしれません。また抗がん剤を使った化学療法に伴う副作用は、見守る側も見ていられないほど辛いものになることがありますし、とにかく服用する薬の量が多いので、劇薬を用量と投与期間を間違えのないようにきっちりと管理して服用するのには、さまざまな合併症に苦しみながらも病に打ち克つという本人の強い意志と家族のサポート無しでは成すことのできない作業です。
 もちろんこの病と闘った彼が一番辛い思いをしたというのは言うまでもないですが、ようやく彼はその苦しみから解放されました。十分に生きて、病と闘い、その一生を終えたのです。遅かれ早かれ、どんなかたちにしろ、いずれは誰にでも訪れる別れです。心からご冥福をお祈りします。
 そして最後まで諦めずに彼とともに困難に向き合ったご家族や友人のみなさまにはかける言葉が見当たりませんが、日常は続きます。仕事や何か集中できることに向き合っているときはいいのですが、それ以外のふとした時に気持ちが上の空になってしまうようなことが増えていくかと思います。僕もこの間、家賃の振込みに銀行を訪れた際に、大事な物がたくさん入っているスケジュール帳を置き忘れてきてしまいました。普段はそんなことするタイプではない(と思っている)ので、自分の心の状態にハッとさせられました。おそらくみなさまのお住まいはカリフォルニアでしょうから、車を運転することが日常的にあるかと思われます。いつもどおりのルートでいつも通りの風景にも、どうか十分に注意を払って運転していただきたいものです。
 素晴らしい彼を忘れないまま、彼のいない日常を取り戻すことは今はまだ難しいことでしょうが、僕らスケーターたちも気持ちは一緒です。ディラン・リーダーという不世出のスケーターの存在を僕たちは決して忘れることはありません。彼はそういう存在としてこれからも僕たちの日常に在り続けていくのだと思います。

─Takayuki Hagiwara(FatBros

 

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