Nike SB dojo | スケートパーク

生存競争と自然淘汰
──どうなるスケートビデオ?

2019.06.21

 お気に入りのスケートビデオとその内容。スケーターなら自分のベスト3くらいはすぐに答えられることでしょう。また歴史に残るような名パートはそこで仕様されたBGMが語り継がれたりするもの。しかし「あのビデオの●●●のパートの曲が〜」という会話は将来なくなっているかもしれません。世界中から日々アップされる膨大な量の映像を事細かに追いかけるのは不可能、時間も脳の処理能力も足りません。「テープが擦り切れるほど観た」という言葉をよく聞きます。これはDVDが出回る以前にVHS形式の作品を何度も再生したということ。当時は映像の数も今よりずっと少なく、それら作品を繰り返し観ては事細かにインプットできたのです。ここ最近で「10回は観た」ビデオってありますか? 僕はパッと思い当たるものがなく、買ったはいいがわずか1、2度観ただけで放置気味になっているDVDもあります。もちろん内容が良いのにもかかわらず、です。
 スケートビデオのあり方は時代とともに変わっていくことでしょう。それでは今後どうなっていくのか?

 

Case 1 フルレングスビデオがなくなってしまう。
 せっかく苦労して作り上げたフルレングスビデオも発表から1週間後には過去のものとなり、やがて忘れられてしまう。費用対効果も大して見込めなくなりブランドなんかは大掛かりな撮影を徐々に避けるようになる。しかしスケーターを起用し映像を出さずしてブランディングはできないので撮影の予算を絞り、パークやコンテストでの映像が中心の世の中へ。元々は街のそこらで行われていたスケートボードもいつしか他のスポーツ同様、正式な競技場で行われるのが一般的な認識となる。そして映像制作は一部のマニアの楽しみ程度のモノに。

 

Case 2 定額制スケートビデオ見放題。
 一般庶民スケーターの僕が想像できることなので、これはすでに世界のどこかで進められているプロジェクトかもしれません。例えばThrasherやBerricsといったウェブメディア、はたまた謎に包まれた裏VHSMAG(?)がプラットフォームとなり、月額5ドルだか420円だか払えば作品が見放題の時代へ。当然ながら再生回数やイイねの数に応じて制作者にバックが支払われるのでバズった映像を作ったヤツほどオイシイ思いができる。選挙みたく、制作者側は先に供託金を払い、一定数の再生がないと没収されるので駄作が乱立しにくいのも視聴者にとってはうれしい限り。

 

Case 3 二極化が進む。
 「最新鋭の機材を使った撮影、手の込んだ編集、一流のスケーター&制作陣営」と言えばCrailtapが思い浮かぶかもしれません。今後さらにはスケートボードとは関係のない企業までがスポンサーとして名を連ね、より大掛かりな撮影も可能に。そして作品は地上波でも放送され世の脚光を浴びることも稀ではなくなる。あくまでもクリーンな内容の作品の中から名作と呼ばれるものだけが出ることになる。一方でダーティなスケートビデオも存在するが、どれだけ内容が良くてもリアルスケーターから評価されるだけにとどまり日の目を浴びることはない。

 

 などと大袈裟な想像をしてみたものの、なんだかどんよりとした考えに至ってしまいました。そうやっているうちにも次々と新しい作品はアップされ、それらも数回観ればいい方だったりするわけで…。「テープが擦り切れるほど…」の時代からかなり進化したスケートビデオ。「何を観て、何は観ない」という取捨選択のスキルアップこそ現代の我々に求められているものなのかもしれません。映像作品を作ろうと日々奮闘中の方も多いと思います。今後のスケートビデオのあり方を考えるきっかけになればと思う次第であります。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 

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