
ときに異性が見せるギャップというものがとても魅力的な要素であることは良く知られていますね。たとえば普段から強面で知られ、人を寄せ付けないいかにも屈強そうな雰囲気をまとっている男性が、人知れず路上の野良にその大きな背中を丸めて餌を与えていたとか、容姿端麗なまさにクールビューティそのものという感じの近寄りがたい女性が、突然周囲の人間を瞬間的に失神させるようなお茶目な天然っぷりを発揮したときなどなど、大概の人はそのいい意味での落差に一撃でコロり、すなわちイチコロです。もちろん僕もイチコロです。
で、そんな魅力的なギャップというものを無理やりスケーターに見出そうとしたとき、僕には真っ先に思い浮かぶシチュエーションというか、僕の負の先入観を吹き飛ばしてくれる状況があります。それは普段フレッシュ系のスケート、いわゆるB系と呼ばれるようなテクニカルスタイルで認知されてるスケーターが、タイトなRやボウルでド渋な滑りを魅せているときです。しかもそのトリックがスミスグラインドのテールグラブとかリーントゥテールなど、クラシックなものであればあるほど僕はそれにイチコロとなります。中でも特にその独特のリズム感から、ルーズなシルエットに緩やかなフロウで、テクニカルなスケートを好む傾向が高い(と思われる)アフリカ系のスケーターが時折見せるトランジションでのハイスピードでクラシックなスケートは、スケーターによる最高のギャップだと思っています。
なかなか狙ってできることではありませんし、狙ってやってるのが見え見えなのはアウトですが、少なからずこういう魅力的なギャップをあくまでも自然体で持ち合わせたスケーターでありたいものです。
─Takayuki Hagiwara(FatBros)