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 たった今クズ野郎が来店した。今日はいろいろとやることがあるのに大切な…
──ちょいダルおやじ

2016.10.28

 たった今クズ野郎が来店した。今日はいろいろとやることがあるのに大切な時間をクズ野郎に奪われ悔しいので、勝手ながらみなさんとことの顛末をシェアすることで(要は愚痴)、心の安定を取り戻したいと思いますのでどうかしばしお付き合いを。
 そのクズは齢にして50歳前後、こじゃれたデニムシャツにブラウンのベストを合わせ足元は茶色いブーツという出で立ちで、見た目年齢にしてはだいぶお洒落に気を使っているというのはその外見からも容易に察することができる。だがすでにかなり酒臭い。時間はまだ午後の2時を過ぎたばかり。オレだってさすがにこんな時間からは飲まない。むろん人それぞれなので今日はすでに仕事を終えた後かもしれないし、あるいは休日なのかもしれない。が、午後の2時から酒臭いのはその時点ですでにお洒落ではない。
 そしてクズ、臭い呼気で店内を見回した後におもむろにこう尋ねてきた。「なぁ、オレみたいなおっさんに似合うスケボーないの?」と。内心ではもちろん「あるわけねーだろ。臭ぇから早く出てけよ」と即答してるのだが、いま眼の前にいるのは現時点では一応客だ。どんな形であれスケートボードに興味を持って来店してきた人には真摯に対応しなければならないので、区別することなく正直に対応した。板の形状やウィールの硬度のことなど、ここで用意できる予算に応じたベストなものを提案した。
 やがてクズ、こちらからの一通りの説明の後に勧めたデッキを小脇に抱え(どうやら乗りやすいかどうかはどうでもいいらしい)、鏡の前に立ち再びこう尋ねる。「似合う?」と。そしてオレ、「似合ってねーよ。てか似合うとかそんなんじゃねーだろ。気付けよ」という心の声を押し殺し、仏の笑みでまたひとつ悲しい嘘をつく。「お似合いだと思います」。
 最終的にクズ、レジまで歩みを進めた後にこうのたまう。「酔っ払って買い物して帰るとかみさんに怒られちまうからまた今度にするわ」。そう、完全に冷やかしである。オレなりの真摯な対応と商品知識の提供は無駄になり、オレのついた小さな嘘はその行き場を失って貴重な時間だけが費やされたのである。
 だがモノは考えようだ。あんなわけのわからんヤツがスケートボードを手にすることで今回下がってしまうかもしれなかった「スケートボードを所有する」ことの普遍的な価値は守られたのだ、そうに違いない。真にスケートボードが似合うおっさんたちというのはそれを器用に乗りこなす人たちだ。小脇に抱えりゃ格好がつくようなもんじゃない。どうしてもお洒落なおっさんに見られたいのであれば高級ブランドのポーチでも抱えてやがれ!

─Takayuki Hagiwara(FatBros

 

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