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やらなきゃ意味ないよ!
──ジレンマ

2019.12.20

 いよいよスケートボードも本格的なスポーツとしての立ち位置が確立されてきましたね。世界で活躍するトップの日本人スケーターがニュースや雑誌、さらに街中の広告に登場するのもなんら珍しいことではなくなってきました。コンビニでドリンクを物色してビックリ。エナジードリンクのRAIZINが堀米雄斗を起用し、直筆サイン入りのボードなどが当たるキャンペーンのポップまで出てるじゃ〜ないですか! ここまでくると誰もが知る一流のスポーツ選手や芸能人と肩を並べるレベル。ほんの数年前でも考えたことすらなかったし、不良少年たちの遊びでしかなかったスケボーも変わったものだと日々思わされます。
 しかし、やっぱり「スポーツ」と言われることに異を唱えたいというか、居心地の悪さを感じるというか…。BMXやインラインスケートなんかもひっくるめてエクストリームスポーツやローラースポーツなんて言われ方もするのですが、「そもそもスポーツって言葉すらがダセェ!」という認識もスケーターの間では一定数あるように思います。僕はスケボーは遊びだと思っているのですが、あえて「スケボーはスポーツ」と言うのもひねくれたスケーターらしさがあって面白いのかと。最近目に余るのが、五輪ネタを引き合いに出して、「オレらリアルだぜ! 五輪ディスってるぜ!」なんて類の主張している自称(自傷)リアルには目も当てられないというか、同じ(?)スケーターとして切なさすら感じさせてくれます。
 そしてどうなんですかね、昨今のスポーツ事情。今年はラグビーW杯が開催され大いに話題となりました。しかし一方、各スポーツ界隈で不祥事の横行や選手とコーチ、監督のギクシャクした関係、暴力行為やパワハラも取り沙汰されてきました。スポーツ本来のあり方から「いかに得点を稼ぎ、いい結果を出せるか」という目標がねじ曲げられ、名誉やプライドを守ろうと行きすぎた行為に走ってしまう。
 しかしそればかりではありません。あくまで楽しむこと、遊び心を忘れずに続けている人が大勢いるのがスポーツと一線を画している我々の遊び、スケートボードなんじゃないでしょうか。そんな遊びを極めたヤツは大きなコンテストで勝ち、映像を作って最も目立ったヤツはSOTYとなり、またブランドからシグネチャーモデルを出して売れれば大金をゲットできる、それだけのこと。名誉やプライドが引き起こすつまらない事件なんてのは、ことスケートシーンにおいては不必要。より多くのマネーが流入すると見込まれる今後こそ、その真価が問われることになるのでしょう。
 あ、もちろんなんですが、スキルやセンスで他人にかなわないから「スケボーはスポーツじゃねぇ!」ってのもまたつまらない話。勝ち負けじゃないですが、自分の負けを認めることもしましょうよ。負けを知った上で自分はどうしたいのか、それで模索するのもまたスケートボードを楽しくする要素のひとつのはずです。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)




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