今ではもう死語になっているかもしれませんが、昔「ガリ勉」ということばをよく耳にしました。学校の先生の言うことを素直に聞き、よく勉強に取り組んでいる子に対して、その子ほど成績の良くない子どもが発する蔑みの言葉です。要は「勉強ばっかりしてて面白くないヤツ」ってことなんですが、無知が生み出すひがみ根性全開のイケてないワードです。この「優等生」VS「劣等生」の構図は、学園ものドラマなんかには世代を越えて必ずと言っていいほど登場するシチュエーションですが、得てして優等生サイドはメガネの着用率が高く、劣等生サイドにメガネを着用している輩がいることは実に稀です。
で、スケーターはというと、今でこそ立ち居振る舞いのきちんとした分別のあるジェントルメンが増えましたが、一昔前はそれこそはみ出し者同好会みたいなノリが主流で、優等生サイドに在籍しているスケーターなんてのは皆無で、当然メガネをかけてるヤツもいなかった気がします。そんな中、唯一思い浮かぶのはStereoの首謀者のDUNEことクリス・パストラスで、彼はメガネのファッションアイテムとしての側面をうまくそのスタイルに取り入れ、当時のStereoが前面に押し出していたモダンで都会的なイメージの普及に大きく貢献しました。そして彼の影響を受け、メガネをアイテムのひとつとして嗜むスケーターがそれ以降増えたように記憶しております。
そして最近ではメガネを着用して、さまざまなスタイルのスケートに取り組む才能溢れる若きスケーターがじわりじわりと増えてきました。それは路上のあらゆるものをヒットするスタイル、ビッグステアに難易度の高いトリックで挑むスタイル、それこそ天地がひっくり返るような錯覚に陥るほどのトランジションに向き合うスタイルと多種多様ですが、それでも彼らのメガネがぶれることはありません。
--TH (Fat Bros)