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 スポーツの世界では「イメージトレーニング」(実際にからだを動かすこと…
──第24回:セルフイメージ

2013.10.18

 スポーツの世界では「イメージトレーニング」(実際にからだを動かすことなく、動いている自分を思い描き、自身の技術や戦術を向上させること)をすることはもはや当たり前のこととなっている。一流のスポーツ選手やチームには、専属のメンタルトレーナーがついてるそうだ。また、スポーツ心理学では、イメージトレーニングと実技練習は同等の効果があることを実験により証明しているらしい。

 スケートボードがスポーツかどうかはさておき、全身をフルに動かすことは確か。ということは、スケートボードで自身のスキルを高めるにあたり、イメトレはとても重要な作業になるといえる。僕自身も、撮影前にあらかじめトライするスポットとトリックが決まっている場合は、かかさずイメトレをするようにしている。フォトグラファーとの待ち合わせの少し前に集合場所に行き、カフェなどでコーヒーを飲みながら、人目を気にせずその作業をする。
 目を閉じ、呼吸を整え、身体を緩ませる。自身を催眠状態に導き、自分がスポットでメイクしている状態を、できるだけリアルに、ありありとイメージする。同時に「絶対にメイクできる」と自己催眠をかけ、潜在意識に刷り込む。

 この作業をするのとしないのでは、その日の結果に驚くほどの違いがでる。ただこの作業、普段の生活で意識的にしていなくても、すべての人がしているのだ。僕ら誰もがひとりひとり、自分に対して「セルフイメージ」というものを持っている。セルフイメージとは「自分はこういう人間だ」と、無意識に思っている(思いこんでいる)自分のイメージのこと。そういった個々のセルフイメージを、毎日毎日、各々が自分自身に思い込ませている。
 例えば「オレはどんな人の前でも、自信を持った堂々した態度をとれる人間だ」というセルフイメージを持っている人は、実際にそういった行動をとれてしまう。逆に「オレは人前に立つとどうしても緊張してしまう。何て弱い人間なんだ」と思っている人は、本当に人前に立つと身体が緊張してしまい、おしっこチビりそうになってしまう。

 二十歳前半の頃、僕はとある飲食店でバイトしていた。そんなある日、僕はその仕事場でミスを連発してしまい、店長に一言こう言われた。「大本君って、意外と仕事できない人なんだね」。
 僕は、その店長の何気ない一言にかなりのショックを受けた。「そっか…オレはできない人間なのか…」。

 その日以来、僕は毎日のように仕事場でミスを連発するようになった。そして毎日店長に叱られる。密かにかわいいっと思っていた巨乳の同僚にも、オッパイをプルプル震わせながら「もう、しっかりして下さい!」と言われる。かなり辛かった。「今日は絶対ミスをしない」と自分に言い聞かせるときほど、面白いくらいにミスを連発してしまう。結局そのときの仕事は、そんな自分に耐えれなくなり、逃げるように辞めてしまった。

 なぜ自分があんな状態になってしまったのか? 脳科学や催眠というものを勉強するようになった今の僕なら、あのとき自分がしていたことがよく理解できる。

 あの当時、店長から言われた何気ない一言に僕はショックを受けた。正直、それまでの自分は、なんでも上手くこなせる器用なヤツだと思っていた。それが、店長の一言によって「仕事ができないヤツ」という暗示が僕の潜在意識にスポーンと入ってしまった。セルフイメージが変わってしまったのだ。それからというもの「今日はミスしないようにしよう」と思えば思うほど、毎日リアルに、そしてありありと、自分がミスしている状態をイメージしてしまっていたのだ。知らず知らずのうちに、負のイメージトレーニングをモロにしてしまっていた。

 数年前僕は、催眠の愛好家があつまる会に参加させてもらい、有名な催眠療法士に出会った。その方は、催眠療法により、多くの人の悩みを改善し、または夢を実現させている方。同時にショー的な催眠術により人を楽しませている。
 「僕に催眠術をかけてください‼」。僕は鼻くそが飛び散るほど鼻息を荒くしお願いした。そして、その方の誘導で深い催眠状態にしてもらい、ショー催眠術をかけてもらった。

 「ほら。もう手が開かないでしょ?」 開こうとすればするほど、ガチガチに手が固まってしまう。
 「3つ数えると、あなたはもうその椅子から立ち上がれないですよ」。
 「今からあなたが目を開けると、どういうワケだか、もう笑いが止まらないですよ」。

 モロにかかってしまった。かからない人はまったくかからないらしいが、どうやら僕は催眠にかかりやすい体質らしい。正直びっくりした。特に笑いが止まらない催眠は、もうなにもかもが笑えて幸せ100%になった(ちゃんとすぐに解ける)。

 「なんじゃこの感覚は…これはすばらしい…」。
 昔から催眠術を信じていたが、実際にかけてもらうと、こんなにも簡単に人間の身体と心は暗示によって左右されてしまうのか…? 実際に催眠術にかかり、僕は大きな気づきを得た。「環境、そして自分自信の思いによって、いくらでもなりたいに自分に変わることができる」ということを。そして同時に、今まで自分自信がいかに無駄でマイナスなセルフイメージを持っていたのかを理解できた。

 その催眠療法士の方が言った。
「すべては思い込みですからね」と。

DESHI

旅とドトールと読書をこよなく愛する吟遊詩人。 “我以外はすべて師匠なり”が座右の銘。

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