Nike SB dojo | スケートパーク

スケートへの深い見識と美意識があってこそスケートメディア。某アパレルブランドのパクリで炎上…
──表紙がすべてを物語る

2017.02.10

 我らが教典、Thrasher Magazineの魅力についてはもう何度もここで書き連ねているのですが、こないだ入手したその新しい号のカバー写真で今回、心地良い回想をさせてもらうことができました。本国ではもう3月号が発刊されているようなので厳密に言うと前号になるのですが、そのカバーを見事射止めていたスケーターは、来日時にいい時間を共に過ごすことのできたGX1000クルーの一員で、現在はChocolateのライダーを務めるヨニー・クルーズ。そのロケーションはおそらくロンドンのレッジ to フラットで、昔Blueprintのビデオなんかによく出てきたスポット(のはず)。そこでヨニーが仕留めているトリックはSSBSLS(スイッチバックリップ)。それは例えばJAWSのスタントさながらのステアや、カイル・ウォーカーのとんでもないキックフリップに比べれば比較的シンプルなのかもしれませんが、ハンマーからこういう街中での1枚までをその雑誌の「顔」とも言えるカバーに幅広く採用することのできる我らが教典のスケートボードに対する深い見識と美意識には、ひとりのスケーターとして感服の念しか持ち得ません。
 そしてこのカバー写真を見て今回、僕の頭に鮮やかに浮かんだもうひとつのカバー写真、それは1993年5月号のカバーを飾ったジュリアン・ストレンジャーの1枚。からし色のハーフキャブに同色のSpitfireのキャップを身に着け、SFのスケート世界遺産Transbay 7 Stairのレッジ to フラットで彼が披露したのは完璧なBSLS(バックリップ)。この1枚に衝撃を受けてからもう24年も経つのですが、今でもはっきりとその構図やカラーを思い出すことができます。なお、その写真は経典のウェブサイトで検索すれば拝めますので是非どうぞ。そのロケーションとトリック(トリックは現代風にスイッチなところがまた◎)が今回リンクして、古い雑誌のカバー写真を思い出し、久しぶりに見返してみたのですが、それが与えてくれる感動はやはり24年を経た今でも色褪せることはありませんでした。
 昨今の急速な情報化社会の発展に伴い、スケートに関わるメディアの立ち位置やその在るべき姿についてさまざまな意見がいろんなところから出ているようですが、こと紙媒体に関して言えば個人的にはそのカバーを飾る写真がすべてだと思っています。企画や内容、その情報の正確さが大事な要素であるのはもちろんですが、少なくとも僕の場合、盲目的に所有欲を突き動かすのはそのカバー写真であり、こういう人間の感性にダイレクトに訴えてくる部分は、カバーを持つすべてのメディアにいつまでも大切に持っていてほしいと思っています。

─Takayuki Hagiwara(FatBros

 

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