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あのトリックのない世界
──オーリーレスエンターテイナー

2020.10.16

 遡ること40年以上、アラン・ゲルファンドという少年がトランジションをスケートしているなかで発見した、ノーハンドで宙に浮く動き。その後のスケートボーディングの礎となるその動きこそ、アラン少年のニックネーム「オーリー」であるということは、スケーターなら必ずや知っておきたいこと。革命的なトリックであるオーリーがもし存在しなかったとしたら、スケートシーンはどのような進化を遂げていたのだろうか。
 ひとつ考えられるのは、よりスポーツ志向な路線。スケートボードが世に興隆し始めた頃のコンテスト映像を観るに、そこで競われるのはヒッピージャンプの高さやスラロームの速さ。「何センチ飛んだ」「何秒で走り抜けた」というように記録は数値化されわかりやすく勝敗が決まります。当時のムーブメントのままスケートボードがより市民権を得ていったとすると、きっと2020よりずっと前にオリンピック種目になっていたかもしれません。スケートボード版の高飛びや短距離走の選手が存在し、スケーターがスポーツ選手としてお茶の間に認識されていたかもしれません。しかし歴史がそうならなかったのはスケートボードが遊びの延長線上として時におふざけや悪ノリが入ったり、かたやフリースタイルのように数値化の難しい滑りが盛り上がりを見せてきたから。やがてフラットでのフリースタイルにもオーリーが持ち込まれ、1枚のデッキでできることの可能性が広がったとともに、自由さと個性も大事な要素として認識されるようになりました。
 より過激でクリエイティブにトランジションやストリートのフィールドを押し広げてきたスケートボード。オーリーなくして現在のスケートシーンは絶対に成立しません。しかしあえて、またはそれを得意としないため、オーリーを駆使しないと公言するスケーターも支持される懐の深さがあるのもシーンの魅力とも言えるかもしれません。「仮にオーリーが発明されなかった世界でスケートボードはこんな進化を遂げてきただろう」。時に彼らはそう思わせてくれるのであります。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

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